頭はいいけど、どこか抜けてる轟くん。鈍い彼には押すしかない、と覚悟を決めて、好意を声にも態度にも隠さず伝え続ける。しかし、彼の鈍さを甘く見すぎていた……。勇気を振り絞って毎日好きって伝えても 「ありがとな」 「そうか」「俺もお前を大切な仲間だと思ってる」 と、全く恋愛的な意味で捉えてくれない彼。
仕方ないのでそういう意味で捉えて貰うため、好意を伝えることをやめて交際を申し込むことに。彼の事だから付き合ってください、なんて言おうものには 「何にだ?」 と返ってくるのは目に見えてた女の子。好きです、私の恋人になってください、と告げてみる。目を丸くして驚く彼。そして少し俯きながら、
「いつもそういう意味で言ってたんだな。わりィ、気づいてやれなくて……俺もお前のことは好きだけど、多分お前と同じ意味の好きじゃねぇ……だから、ごめんな」
と申し訳なさそうに言ってくる。今度こそ完全に失恋した女の子。いつも通り振舞おうとするけれど、それを機にやっぱり彼となんとなく気まずくなっちゃう。今まで一緒にしてた登下校、昼ごはん、休み時間の雑談も全て他の人と過ごすように。クラスのみんなも察して何も言わずに優しく接してくれるので感謝してもしきれない。三奈ちゃんや透ちゃんからは「失恋には新しい恋が1番 ! 」 「男はこの世に1人じゃないからね!」 と前向きな言葉をかけてもらい、少し微笑む。
一方、轟くんはそんな会話を聞いてなぜか胸がざわざわ。それからも、女の子と話す時間がなくなって落ち着かなかったり、女の子が他の男と話しているのをみて苛立ちを覚えたりする自分に、徐々に違和感を感じ始める。
ある日、とある普通科の男子に呼び出され告白された女の子。彼は顔よし成績よし性格よしで学校でも割と有名な人。思わず“新しい恋”という言葉が頭をよぎってしまう。彼への気持ちを諦められるなら…心が揺れて、思わず “考えさせて” なんて答えてしまう。そして相手の男の子がその場を去った直後。
「あいつと付き合っちまうのか」
と、背後から誰よりも求めていた彼の声が。驚いて言葉を失っていると、後ろから力強く腕に閉じ込められる。
「頼む…他の奴と付き合わないでくれ…。…今更なんだって話だよな…でも、やっと気がついたんだ 」
──俺は名前のことが特別な意味で好きなんだって。