押してダメなら引いてみろ(天喰環)





好きです!とストレートに告白すると、彼の思考が停止して石のようにピシリと固まっちゃう。

「……えっ…き…君が、お、俺を?そんなまさか…いやきっと罰ゲームかなんかに違いないそれ以外ありえない…一瞬でも勘違いしそうになった自分を今すぐ殺したい…」

赤くなったり青くなったりと百面相を繰り広げ始める。声をかけても反応してくれなくて途方に暮れていると、ミリオくんが彼を無事回収。あの様子じゃなかなか信じてもらえないなぁと思った女の子。まずは好意を理解して欲しくて、すれ違う度、会いに行く度に好きって伝える。

「え、あ、そ、そうか…」
「君も無理しなくていいんだよ…」

しかし、そんな反応も最初の内。女の子の猛アピールとミリオくんやねじれちゃんの協力も相まって無事仲良くなることができたことから、「うん、ありがとう」「今日も元気いっぱいだね」なんて笑って答えてくれるようになり、どんどん好きが加速しちゃう。

そんなある日、何度か声をかけてきたことのある男子に呼び出され、告白されて。「ごめんなさい…私、好きな人がいて」って言うんだけど、「そんなんみんな知ってるよ。天喰だろ?…でもさ、正直に言うけど、好きでもない人から毎日告られたら迷惑だって思わないか?脈ナシならとっとと引いた方が天喰のためにもなるだろ」と一理あることを言われ、ぐさりとくる。確かに、天喰先輩の迷惑も考えてなかったなと反省し落ち込んでいると、「だからさ、一回俺と付き合ってみようよ。俺があいつのこと、忘れさせてあげるから」なんて言われてしまう。どうしよう、と動揺していたそのとき。

「……待ってくれ」

背後から、焦がれて仕方ない人の声がして。

「……俺は、君が好きだ。遅くなって、本当にすまない」

彼の言葉に、心臓が止まりそうになる。言いたいことがたくさんあるのに、まず口に出たのは「……本当ですか?」の一言。

「……ああ。本当だよ。……初めは正直に言うと信じられなかったんだ。君が俺を…好き、だなんて…君も知ってる通り、俺は明るくもないし話が上手いわけでもない。君に好かれる要素が何一つ分からなかった。でも君が俺のどこを好きか、どれだけ好きかを熱心に伝えてくれたおかげで、だんだん自信が持てるようになった。そんな君に憧れて、同時に……どうしようもなく惹かれていったんだ」

「君が好きだよ。だから、君さえ良ければ…俺と、付き合ってくれませんか」

彼がひとつひとつ丁寧に紡いでくれた言葉たちに涙が止まらなくなる。彼は流れる涙を拭いながら、ふわりと微笑んで。

「……心臓が、破裂するかと思ったよ。君はこんなに勇気のいることをいつもしてくれていたんだね。俺を諦めないでいてくれて、俺に自信をくれて……俺を、好きになってくれて、本当にありがとう」

再び紡がれた優しくて愛しい言葉たちに胸がいっぱいになり思わず彼抱きつけば、彼は一瞬石のように固まったけれど、やがておもむろに背へと手を回してくれた。


……ちなみにいつの間にフェードアウトした告白してきた先輩は、ミリオ&ねじれの仕込んだエキストラだったと知るのは、このあとすぐの話。



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