連合の中でも一際女の子扱いしてくれる彼にあっさり落ちちゃった女の子。気持ちを自覚してしばらくしてからついに好意を伝える。彼は仮面をしていて表情こそ分からないが、あからさまに狼狽え、息を飲む。が、それも一瞬。
「…いやあ驚いた驚いた、この歳になってこんなに可愛らしい女の子に告白されてしまうとは。…でも残念ながらそれはただの錯覚だよ、お嬢さん。殺伐とした環境下で年上の男にちょっと優しくされて、勘違いしちまってるだけさ」
なんて言われて見事玉砕。でもここでめげない女の子。勘違いなんかじゃないと伝える為、攻めることを決意。でも 「好きです」って言うと 「ダメだよおじさんをからかっちゃ」「はは、おじさんドキマギしちゃうなー」 と軽くかわされちゃう。
さらには、女の子のアプローチを機にコンプレスの普段の様子が急変。意味深なセリフは一切なくなって、さり気ないボディータッチは頭を撫でるだけの行為に変わり、会話がしたいと呼びかければ、「話なら死柄木とかトガちゃん辺りに頼めよ、若い子同士の方が盛り上がるぜ」 とあからさまに避けられるように。挙句にはトガちゃんとスイーツを食べてはしゃいでいると 「何だか娘の成長を見ているようで感慨深いなぁ」 などボヤきはじめる始末 (これにはさすがに周りもギョッとしていた)。ことある事に年の差を強調してくる態度から、遠回しに拒絶されていることを感じた女の子。そう上手くはいかないと覚悟はしていたものの、どんどん落ち込んでいく。
ある日なかなか寝付けなかったので気分転換に散歩していると、男に声をかけられる。30代位のいかにも軽薄そうな男性は、「君、今時間あるかい?よければ食事でもどうかな?」 と言いながらニッコリと笑いかける。断ろうとするも、いつの間にか肩に回される手。ゾクリとして身を固まらせる。
─────刹那、男の苦しむ声が聞こえたと同時に誰かの力強い腕の中に閉じ込められる。特徴的な黄色のコートと、ほのかに香るオーデコロン。“彼”だ、とすぐに理解する。彼は男の手首を強く握っていて、男が離せと叫ぶまで止めなかった。男は握られた手を抑えながら、突然割り込んできてなにかな?と言うも、コンプレスは無視して去ろうとする。それに逆上した男は「仮面なんかしちゃってさぁ、よっぽど醜い顔しているんだろうねぇ?」君もそんな不細工男やめて俺のとこに来なよ!と女の子に向かって叫ぶと、コンプレスは歩みを止める。そして帽子を脱ぎ、仮面ごと中のマスクも剥ぎ取ると、男の方を振り返る。
「……これで満足かよ?」
そのときの彼は今までに類を見ない程、酷く冷めた目で男を見下ろしていた。ついに男が何も言えなくなると、彼は女の子をお姫様抱っこして今度こそ颯爽と立ち去っていく。連れられてる最中、何だか気まずくて俯く。コンプレスの隠れ家らしき場所に連れられると、ドン、と壁に押し付けられる。互いの鼻がつきそうな位の至近距離で、初めて見た彼の素顔。その表情は酷く怒っているように見えて。
「キミさ、年上の男なら誰でもいいわけ?」
怒りを滲ませた声に、そんなことない、貴方だから好きになった、貴方しかいないと必死に伝える女の子。
…部屋に沈黙が流れる。しばらくすると、彼が女の子を優しく抱き留め、はぁーーー…と大きなため息。思わず呆れられたのでは?と困惑する。
「俺みたいなアラサーより、もっと若い子がいいんじゃねえかってどこか遠慮してた。…でも悪いな、やっぱりお前だけは譲りたくねえって思っちまった…まだ間に合うって思っていいか?」
その言葉に勢いよく首を縦に振る。それを確認すると彼は抱き寄せていた腕を離し、女の子顎に手を添える。
「ここまで来たらもう逃がしてやれねェぜ?俺を選んだこと、後悔してももう遅いからな 」
ゆっくり目を瞑れば、彼の唇が重なった……。