七夕記念(荼毘)





「ねー荼毘、お願い事書かない?」

そう言って五色の短冊を渡す。
「…この歳になってまで、ンなガキみてえなことするかよ普通」
はぁ…とため息をつきつつも一応付き合ってくれる。
「いーじゃん。ほら、好きな色選んでいいよ」
「何でもいいから早くしろ」
「なんでも良くないよ!願い事に合わせる決まりなの」
「へぇ?」
「中国の五行説に基づいててね、木は青又は緑・火は赤・土は黄・金は白・水は黒又は紫を表してるんだよ」
「要するに俺は火の赤を選べってことか?」
「ふふ、それぞれに込められる意味も違うんだ。ちなみに赤は先祖や親に対する感謝だよ」
それを言った瞬間荼毘は一瞬で赤い短冊を灰にした。何だか深くは聞いてはいけない気配を感じ、黙り込む。
「…それで?」
「あ、えっと…白は義務や規則を守る」
ボッ
「紫は学業の向上」
ボッ
「み、緑は人間力の向上…」
ボッ
「…残りは私と同じになるけど」
「…お前は何を書いたんだ?」
「えーと…荼毘と仲良くなりたいって。ちなみに黄色は人間関係についてかな」
ボッ
「あ」
……彼は結局全部燃やしてしまった。そして、なんの前触れもなくベッドまで連行される。
「え、何、どうしたの」
「俺ともっと仲良くなりてェんだろ?」
ニヤリと笑う彼。いやそういう意味じゃ、と言う前にはもう口を塞がれていた。
…実はこのとき、今まで仲良くないと思ってたのかよ、と拗ねていたとかいないとか。




backtop