彼女の二次ヲタについては、(あのクソナードと似た類なんだろうな)と思ってる。オタクなのを知ったのは付き合った後だけど、特にそれが理由で嫌いになるとかないし、ふーん程度。むしろ他人に内緒にしていることを打ち明けてくれて気分がいい。いつも何かにつけてみみっちい癖にそういうところは寛大。これには全オタクが惚れる。おまけに、彼女が知ってて自分が知らないことがあると何だかムカつくので、彼女の好きな作品を一通り勉強もしてくれる。素敵彼氏が過ぎる。だけど、そんな爆豪くんも乙女ゲームだけは手を出せなかったようで。
「アーッ待ってここでスチル!?最高…岡崎契ほんと貢がさせて…」
心を許した彼氏の前で、Switchを掲げて悶え騒ぐ女の子。また知らない単語が出てきたな、と思いつつ『オカザキケイ 乙女ゲーム』で即検索してみる彼。『26歳 CV:梶〇貴 おっとりとした性格で、言動もマイペースかつ天然気味。』
………。
「( …俺と真逆じゃねェかクソが!!)」
これには思わず突っ込んだ。見た目も謎にほわほわしていて幼い顔立ち。更にサンプルボイスを聞いてみると、何となく半分野郎の声に似ている。というか性格も似ているような…?
「(…本当はこういう野郎がタイプなのか?)」
普段自信に満ち溢れている彼だが、これには少し堪えるものがあった様。ベッドの上でうつ伏せになり「私も好き〜!」と言いながらじたばたする女の子。彼はその背中に、後ろから抱きつく。
「ば、爆豪くん…?」 彼の息遣いが耳元にかかり、一気に現実に引き戻される。何か用なのかと思い、Switchをスリープモードにすると、片耳だけ付けていたイヤホンを外す。「どうかしたの?」心配そうに呼びかけてみる。
「……俺のことは、好きじゃねェんかよ」
ボソッと零す、寂しそうな、甘えるような声。これには思わずきゅん…。背中から伝わる彼の鼓動が、こちらを抱き締める逞しい腕が、更に羞恥を促して頬を熱くさせた。
嫉妬してくれたのかな?そう思うと嬉しくて、思わず顔が緩む。「…爆豪くんが、一番に決まってるよ」 優しく囁けば彼はこめかみに優しく口付てくれる。
「 ン。ならいい」
抱き締める腕を強めて呟く声は酷く満足気で、なんだか可愛らしい。暫く乙女ゲーは封印しよう、なんて思いながらその日は飽きるまで2人で抱きしめ合っていた。