オタク女子と恋人の彼(環)





「私…実は二次元オタクなんです…!少年漫画の男の子とかにキャーキャー言ってる奴なの!!」

ついにカミングアウトした女の子。その告白は、正直彼に好きだと伝えたときよりも緊張していた。しかし、それに対して彼は特に驚く様子もなく、むしろなんだかほっとしていて。

「はぁー……そこまで深刻な内容じゃなくて良かったよ。…まぁ、君にとってはそうだったのかもしれないけど」

少し苦笑しながら言う彼。その目は、相変わらず温かい。
「君が好きなものに対して、否定なんかするわけないよ。むしろ俺も、君が好きなものを分かち合いたいな」
慈愛に満ちた言葉、声、瞳。 きっと、彼こそ優しさの化身。オタクが彼氏に言われたい台詞ランキングTOPに入る言葉を無意識にくれる最強彼氏環くん。心がひろ杉謙信。
「何でそんなに寛容なの…」 彼の優しさに思わず涙しそうになりながら、感嘆の一言。すると彼は、そんな独り言さえもしっかりと拾ってくれて。

「どんなに漫画のキャラクターに好きだとか言ってても…君が一番好きなのが…その…俺、なら…何でもいいんだ」

頬を掻いて、照れ臭そうに笑う彼。その声は少し自信がなさげだけど、話している内容は自信が込められているから胸が高鳴る。そのまま見つめ合っていれば、彼が顔を寄せてきて…。身を任せて目を瞑れば、唇が重なった。
ああ、彼にちゃんと話してよかったな。心から安心していると、離れた彼の唇が、そのまま耳に寄せられる。

「…でも、嫉妬するときがないとは言えないけどね」

意地悪そうに、普段より低く囁かれるそれ。ゾクリと背筋が粟立ち、腰の力が抜けそうになる。そして、数秒後に茹で蛸のように真っ赤に染まるのは、訳無かった。
…嫉妬する所も見たいな、なんて贅沢な考えをしながら。




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