オタク女子と恋人の彼(ホークス)





付き合う前から彼女のオタク具合は把握済み。というかむしろそれがきっかけで付き合い出す2人。その仕留め術の一部始終がこの話。まず、気になる女の子について根掘り葉掘り調査 (※違法手段を含む)して、彼女のオタクを把握。これは使える、と確信して女の子にオタクへの寛容さをアピール。

「スポーツでも、漫画でも…何かに対してとことん夢中になれる人って素敵ですよね。オタクな人って俺好きです 」
「エッ…そこスポーツと漫画並べちゃいますか…」

とんでも理論だが、オタクにも理解があってさすがホークスだな、と思い微笑む女の子。…計算通りである。さらに速すぎるこの男は、覇権ジャンルなどすぐに履修してみせる。

「 最近流行ってる『呪〇廻戦』いいですよね。俺も見てるんですよ」
「えっホークスさんも見てるんですか!?」

話の種はこれで完璧。そして最終段階。女の子がとあるイベントの抽選に落ちて沈んでいると、どこからともなく現れる彼。その手には、イベントの当選チケットが。(無論ヒーローのコネを存分に使い、手に入れた品である)

「これ、いつも仕事を一生懸命頑張っているあなたへのちょっとしたご褒美です。受け取ってください。」

労いの言葉と、喉から手が出るほど求めているイベントのチケット。さすがにこれに射止められない訳が無い。「本当にありがとうございます!」 全力で感謝していると不意に手を取る彼。そして唐突に、

「あなたが好きです」

という爆弾発言が投下される。
《好きです…好きです…すきです……》
脳内エコーが止まらない。あまりにも声が良い。というか一体どういう流れで?驚きすぎて大パニックになっていれば、慌てた女の子の様子にクスリと笑う彼。

「俺なら貴女の趣味も否定しませんし、むしろ今回のチケットのようにこれからも色々協力したいと思ってるんですよ。金とコネと、貴女に対する愛なら充分にあります。…お試しでもいいので、俺と付き合ってみませんか?」

彼の方が身長が高いのに、何故か上目遣いになっている彼から見つめられる。人に訴えかける表情や顔の角度…これは自分の顔の良さを分かっていてそれを存分に利用してくる類の人間である。そしてもちろん、これを断れる選択肢などなく…。ホークス √ まっしぐらの完璧なハッピーエンド。そして彼による、オタクを利用して女の子を懐柔しよう作戦大成功。彼は欲しいものを手に入れるためなら、手段を選ばない男。
尚、この時点で彼を金とコネ目当てで選んだとしても全く問題なし。付き合い始めたらすぐに、どろどろに甘やかして、心まで溶かしてゆき、最速で夢中にさせてしまうのだから。




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