オタク宣言をしたその日の夜。女の子の部屋にて2人でまったり過ごしていると、
「オタクってやつなら、好きなキャラクターとかいるんだろ?どういう奴が好きなの?」
なんて尋ねる彼。本棚から漫画を1冊取り出すと、「この中では誰?」 と言ってくるので、「この人です」 と答える。「へェ、意外だな。お前こういうのが好きなのか。ンじゃこの漫画は?」 とさらに言われるので、「この作品だと、彼ですかね」と指さしてみる。
………。
2冊目の漫画の推しを教えた時点で彼がなぜか黙り込む。そして、
「これだと?」「この椅子に座ってる人です」
「これは?」「主役の横で、コート着て立ってる彼ですね」
「こっちは?」「後ろの方でタバコ吸ってるこの人ですよ」
「…………」「……えっと…圧紘さん…?」
私の推しこんなに聞いてどうするんだろうと不思議に思ってる女の子。すると、しばらく黙っていた彼が口を開く。
「…お前、漫画でも年上好きなんだな。今言ってた奴ら、だいたい俺と同い年かそれ以上なんじゃねェの?」
ぎくり。痛い所を突かれて、だらだらと汗が流れる。実は女の子、もともと可愛い顔の年下キャラを推す傾向にあったのだが、彼を好きになってからというもの、30代くらいの年上キャラにしか魅力を感じない様になっていた。
( お願い、それ以上詮索しないで…!) 必死に祈っていば、急にぐっと距離を縮めてくる彼。
「俺の事も、もしかして年上だからって選んだの?」
まァ、それはそれでクるモンがあるけど。そう言う彼には咎めるような素振りはなく、純粋に興味を示している様子。だけど誤解されたら嫌なので、恥を忍んで打ち明ける…。
「…推しに年上キャラが多いのは、近頃圧紘さんに似たキャラばかり好きになってしまうので、その影響かと…」
かなり遠回しな言い方。でも、聡い彼にとっては充分伝わってしまうそれ。最初は目を丸くした彼も、だんだんと意地の悪いオトナの顔になっていき、
「ふーん?随分と可愛いこと言ってくれるじゃねェの」
注がれる視線が色っぽいから、それだけで酔いしれそうになる。恥。穴があったら入りたいとはまさにこのこと。更に顔を赤らめる女の子に対して、得意そうな彼は続ける。
「じゃあ次は、俺しか見えなくなるくれェに夢中にさせてやるよ」
待って、という言葉を遮るように塞がれた唇。もう既に彼しか見えていないのに、更に溺れてしまったらどうなってしまうんだろう?しかしそんな疑問は、彼から与えられる快楽と共に消えていった…。