オタクな女の子を否定することなんて絶対にないのがトガちゃん。コスプレしたりコラボカフェ行ったり夢トークしたり…。女の子の同士でしか出来ないようなオタ活をたくさん堪能させてくれる。やさしい。かぁいい。漫画なんかは2人で肩寄せあって、一緒に読んだりする。
「見てください!今週号のタ〇ミチくんもとっても素敵です!ボロボロで、こんなに血が出てて…はぁぁ…トガ、タケ〇チくんになってみたいのです…」
「わかるよトガちゃん…二次元の壁ってつらいよね…」
見方は少し特殊だけど、楽しみ方は人それぞれ。大好きなトガちゃんと一緒に自分の好きを共有できる、それだけで本当に幸せだし何よりも楽しい。でもどこかでトガちゃんが何でここまで理解があるのか疑問に思っている女の子。
そんなある日、トガちゃんとアニメの話をしながら街を歩いていたら、通りすがりの女の子達が「あれオタクトークってやつ?イタすぎ笑」「ないよね〜w」 なんて会話してるのが耳に入ってしまう。トガちゃんまで同じ目で見られてしまうなんて…。責任を感じて落ち込んでいると、ふと足を止めるトガちゃん。バッと振り返ったかと思えば、通り過ぎていった女の子達の所まで進んでいく。
「…何が面白いんですか?何が“ない”んですか?」
やけに冷めたトガちゃんの声。その場の空気が凍りつく。「…ちょっと、この子さっきのオタクの子じゃ?」「…何の用なのかな」 ヒソヒソ話し出す女の子達。
「…自分の好きなことを好きなだけする。それの一体何が悪いんですか?アナタ達に、この子の好きなことを否定する権利なんてこれっぽっちもありません。…もしこれ以上そのうるさい口を開くようなら────」
「ト、トガちゃん待って!!」
ナイフを取り出そうとした彼女を必死に諌めると、その手を取って走り去る。女の子達はというと、並々ならぬ彼女の気迫と殺気に当てられ、涙目で震え上がっていた。彼女の手を引き人目のつかない場所まで着くと、おもむろにトガちゃんに抱きしめられる。
「好きなことを好きなだけするアナタは本当にステキです。カァイイです。私まで楽しくて…なのに、…。……ねぇ、どうして、世の中はこんなにも生きにくいんですかね 」
怒りと悲しみが入り交じった彼女の声に、思わず涙が零れてしまう。そのとき分かった。彼女は人それぞれが持つ“好き”を大切にしている子。だから、私の“好き”をたくさん応援してくれていたのだと。彼女の小さくて優しくて暖かな背中に手を回せば、彼女はクスリと微笑んだ。
「でも、大丈夫です。貴女の好きを…誰かの好きを否定する世界なんて、きっと私が…私達が、壊してあげますから」
それからしばらく、足りない何かを補うように、埋めるように、互いに抱きしめ合っていた…。