「今日は全部俺がやるから、お前は安心して休んでてくれ」
その一言で既に不安しかない。でも彼の気持ちを無下にしたくないから任せることにする。
──ドンガラガッシャン
…。家事をする最中では凡そ有り得ない音が聞こえてきて静かに頭を抱える。これは後で片付けが大変だろうな、と内心苦笑していたら、しょんぼりした顔で部屋に入ってくる彼。
「…わりぃ、俺こういうの苦手みてぇだ」
いや今知ったの!?なんて盛大にツッコミそうになるけど必死に抑える。彼は横になる女の子のそばにしゃがみこんで、
「…他に何かして欲しい事あるか?」
そう尋ねる彼はまるで捨てられた子犬のよう。思わずきゅん、とするも平静を保って 「気持ちだけで嬉しいよ、ありがとう」 と笑う。すると何か考え込んでしまった彼。しばらくすると、ピコン、と頭の電球が光る。何を思いついたのかな、と見守っていると急に布団に入りこんでくるからギョッとする。そして横になると、ぎゅっと抱きしめてくる。
「え、急にどうしたの…!?」
彼の腕の中でそう尋ねると、
「子供の頃、俺が体調を崩したときにお母さんがこうしてくれたんだ 。…俺はできること少ねぇけど、お前のために何かしてやりてぇと思った」
そう言って微笑む彼に、心の底から愛しさが募る。
「…私、子供じゃないのに」
「…ふっ」
「あ!ちょっとー笑わないでよ…!」
「ふふっ…いや、悪ぃ悪ぃ」
あたたかくて、やさしい時間が心地いい。熱の怠さも、悪寒で震える体も、いつの間にか彼の腕の中ですべて溶けていった。