注射の副作用に苦しむ女の子と彼(Mr.)





副作用で高熱が出てしまった女の子。でも、任務を休んでなにか支障が出たら嫌だ、と思い意地を張って普通に任務へ行こうとする。怠い体に鞭を打ち、やっとの思いで家を出ると、そこには彼が立っていて。

「…そんなふらついた体でどこ行くつもり?」

その表情はいつもとあまり変わらないけれど、なんだか少し怒っているようにも見える。そんな彼の様子に何も言えなくなってしまって、黙り込んでしまう女の子。

「…とりあえず、部屋戻ろっか」

彼はエスコートするかのように女の子の肩を支えて部屋に戻らせると、優しく布団に座らせてくれる。

「……それで。どうしてこんな無茶しようとしたのか、おじさんに聞かせてくれる?」

手を握り込んで、問いかけてくる彼。ぽつぽつと理由を話せば、大きくため息をついた。それに対してビクリと肩を震わせ、呆れられたかな、と落ち込んで、俯いてしまう女の子。何を言われるかびくびくしていると、不意に抱き寄せられて、ぽんぽんと頭を撫でられる。

「…お前はさ、いつも頑張りすぎ。もっと肩の力抜いていいの。…そんで、もっと素直に甘えてくれよ」

耳元で囁かれる心地良い声が胸の奥底にある柵(しがらみ)まで穏やかに溶かしていく。彼のあたたかな胸の中で涙を流してしまうけれど、宥めてくれる声が、涙を拭う手が、全てを肯定するように包み込んでくれる。

「今日は、どうしてェの?」

泣き止んだ女の子にそう問いかけてくる彼。

「…熱で辛いので、休みたいです」
「それから?」
「……圧紘さんと一緒にいたい、です」
「ン、合格」

涙を拭うように目尻に優しく口付ける彼。この人は、こうやってどろどろに甘やかしてくる癖に、自らを鑑みない節があって。いつかこの人にとっての、弱音を吐けるような相手になりたいな。心地良い微睡みの中で、そんな事を思った。





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