蚊に刺されがキスマに見えちゃった(ロディ)





「ロディ今日はもう上がりでしょ?途中まで一緒に帰ろ!」
「おー、ちょっと待ってろ」

彼は身支度をしていると、1人の客に突然話しかけられて。

「オイオイ、ロディも隅に置けねぇな?嬢ちゃんにあんな大胆なヤツ付けちまうなんて」
「…ハ?」
「とぼけんなって!あの細い首に咲いてる大輪さ」 「っ…!」

彼は女の子の首元の赤い痕を見て思わず息を止める。すると、そのまま女の子の方へ歩いていき。

「…へぇ〜〜〜?あんたにそんな相手がいたとはねぇ??こいつは驚いたなぁ」
「え、突然何よ?」

ポケットに手を突っ込んでヘラヘラと笑いながらそう言ってくる彼に、女の子は眉をひそめる。

「ハハハッ、今更とぼけんなっつの!そーんな目立つところにつけちゃってさぁ?…ま、俺には関係ないことだけど」

相変わらず笑いながらそう言う彼。しかしこっそり視線をずらせば、ギャン泣きしているピノが目に入るから驚く。

「目立つところ…?あ、もしかしてこの蚊に刺されのことかな?」
「……、蚊?」
「うん、蚊」

しばらくの間、2人の間に沈黙が流れる。やがて、彼はニヤリと口角を上げて。

「…あーあーハイハイなるほどね。 まぁ、普通に考えてそうだよな?お前にボーイフレンドなんて100万年早いし?」
「ちょっと!それどういう意味よ!」

失礼なことを言われてムッとする女の子。でもピノを見てみれば、 あちこち飛び跳ねて喜び、ブレイクダンスまで踊っている姿が見えたので、 思わずくすりと笑ってしまった。





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