直球そうで、意外と繊細。自分が女子に怖がられがちなのは一応自覚があるので、気になる子に対してはどうにかして嫌われないように努める。女の子が課題に悩んでいればスッと傍に寄ってきて
「…ここの公式、使ってみろ」
なんてさりげなくアドバイスしてくれる。
「ありがとう、爆豪くん!」 と笑いかければ、無言で自席に戻ってしまうけれど、立ち去るとき顔真っ赤だし、内心では、(…今のは素っ気なすぎたか?いや、でも嫌がってる様子は…) なんて毎回反省会してるから可愛い。
こうやって機会を伺っては、女の子に話しかけに行く彼。帰り道も毎日誘ってるからいつも一緒。
「…お前だけだかんな」
ある日の帰途に、彼はそう呟いてくる。
「えっ…何が?」
女の子が尋ねると彼はふと立ち止まりこちらを見つめてきて。その表情は何時に無く真剣味を帯びているから、ついドキリと胸が跳ねてしまう。
「…俺から話しかけに行ってやんのも、課題教えてやんのも、体調気遣ってやんのも、こうして一緒に帰んのも……名前、テメェだけだ。……だから、はよ気づけや」
そう言うと、彼は気まずそうに目を逸らした。
夕焼けの光が彼の頬に差し掛かり、赤く染め上げていた。