年長者の彼は、アプローチも非常にスマート。つねにどこか余裕を感じるし、女のコに対する気遣いやレディーファーストは完璧。こんなのは、意識しない方が無理。
そんな彼だけど、簡単には自らを見せてくれないから掴めない。こういう態度も全て気まぐれなのか、何なのか。分からないからこそ彼の魅力が引き立つという部分もあるのだろうけど、本心が分からなければ、それ以上の関係に発展することはできなくて。
その日も女の子は行きつけのバーで彼を待っていた。意味もなく、くるくるとマドラーを回していると、隣の席に誰かが座る。あ、と呼びかけようとするけれど、そこには知らない男がいて。
「君、可愛いね。良かったら一緒に呑まない?」
「待ち合わせしているので結構です」
「じゃあ、連れが来るまで俺と呑もうよ」
案外執拗く聞いてくるので、困ってしまう女の子。男が女の子の腕を掴もうとした瞬間、パシン、とそれを阻止する手が。
「…こいつはダーメ。俺が目ェつけてる子だからさ」
戯けた態度なのに、彼のその目は酷く冷めていて。男が立ち去ると、女の子は頬を染めて俯いてしまう。そんな女の子に、彼はクスリと笑って。
「俺がお前をどう思ってるか、分かってくれた?」
黙ってこくこく頷く女の子を、彼は優しく撫でる。思わず知った彼の本音に、揺れる心は止まることを知らない。