女の子とのデート中。手を繋ごうとしたそのときに、スカートに滲む血が目に入る。これは女性特有のアレだと気づいた瞬間、学校での知識と姉から教わった情報を総動員させ、 どうすべきか考える彼。とりあえず上着を脱いで、
「あんま薄着だと冷えるぞ、これ着てろ」
染みが隠れる位の大きなそれを女の子に着せてあげる。薄着でいても、いつだって可愛いと褒めてくれる彼だから、女の子は少し不思議に思ってる。ここまではいいけれど、上手い伝え方が分からない彼。とりあえずは家で着替えるべきか?なんて考える。
「お前ん家に忘れ物しちまったのを思い出したんだが、今から寄ってもいいか?」
「え?今度届けるから大丈夫だよ?」
「あ…いや、さっきのは口実だ。 今日はやっぱりお前と2人きりでゆっくり過ごしたい。…だめか?」
もう少しデートを楽しみたいけれど、こう言われては断れない。大人しく従えば、彼はどこか安心したような顔をする。
家に着くと、お手洗いに入った女の子は生理の血が漏れていることに気づく。そして、彼の今までの行動の全てを瞬時に理解し、愕然としてしまう。素早く別の服に着替え、血の着いた服に簡単な処置をすると、急いで彼の元へ向かう。
恥ずかしい。羞恥で上手く言葉にできず、俯いてしまう女の子。すると不意に、ふわり、頭に優しい手が触れる。
「…俺の我儘に付き合ってくれて、 ありがとな」
何もかもを包み込むような柔らかな声。彼のついた世界で一番あたたかくて優しい嘘が、胸に染みる。
「…だいすき」
滲む涙を引っ込めて笑えば、
「俺も大好きだ」
と微笑み返してくれた。