お昼休み。教室で友人と駄弁っていると、そこを通りかかった男子が何かに気づき、その一点を見つめた。
「お前の袖、なんか血みたいのついてね?」
言われた通りに見てみると、女の子は一気に血の気が引く。そこにあったのは、赤黒い染み。ナプキンを交換するときに、経血が付着してしまったらしい。
「な?ついてるだろ」
「あれほんとじゃん。どうした?」
隣にいた男子まで、様子を窺ってくる。何か適当な嘘でもついて、誤魔化さないと。そう思うのに、頭が真っ白になって何も発することができない。心配してくれているはずのその人達の言葉は、皮肉にも女の子の心に悲痛に突き刺さった。
「え、と…これは……」
どうしよう。 どうしよう、どうしよう。頭が全く回らない。そんな女の子の異変に気付いた女の子の友人が間に入り込もうとした刹那。
「その血は、俺のだよ」
いつの間に横に立っていた彼は、そう宣言した。
「…あまり大したことない怪我だったんだけれど、彼女が手当してくれたんだ。その時についたんだと思う」
どうしようもない安堵感が、 全身を駆け巡る。足の先まで冷えていた体は、じわじわと熱を取り戻していいった。
「…落ちなくなったらまずい、落としにいこうか」こくりと頷けば、未だ足が竦んでいる女の子の手を優しく引いてくれる彼。
「…ありがとね」
小声で呟くと、
「これくらい出来なきゃ、 君の横には立てないよ」
と彼は破顔した。