彼は、他の人よりもほんのちょっとそういう知識に疎い。
「お前、どっか怪我してんの?」
「え、」
「…そこ、血がついてる」
その為、こうやってストレートに聞いてしまうなんて事があって。
「…あ!うそ、本当だ…」
彼の指摘したところに触れてみると、指に血がつく。彼は何なのか気づいていないようだけれど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「ちょっと待ってて!」
そう言い残し、急いで着替えにいく。
「お前のちょっとはちょっとじゃない」
「ごめんごめん!」
着替えと汚れた服の選択を済ませて部屋に戻ると、少しだけ不満そうにしている彼。そんな彼に笑いかけて、努めていつも通り振る舞おうとする。
「…で、結局どこ怪我しての?」
「うーん、怪我っていうか…」
彼の生い立ちは何となく察しているので、追求してくる彼を咎めるつもりは無いし、むしろ気にかけてくれることは嬉しい。いい機会なので端的に事情を話してみると、 これまでにないほど驚く彼。
「…やば」
話し終えた後の第一声がそれで笑ってしまう。
そしてそれからというもの、彼は生理が訪れると盛んに声を掛けてくれたり、背中やお腹を4本の指で優しく撫でてくれたりと、特段に優しく接してくれる。彼は、そういう知識に疎い人。でもだからこそ、 人一倍こちらを気遣って、心配して、親身になってくれる、とっても優しい人。