─名前 side─
彼の個性、【剛翼】。翼の紅の羽根を1枚1枚思いのままに操れる、ステキな個性。 …私だって、最初は大好きだった。
「今日はどこも寄り道しなかったんですね、偉い偉い」
「……」
彼は私と離れているとき、常にその羽根を忍ばせ、私の行動を見張っている。それは宛ら、GPSのよう。私が誰かと立ち話をしたり、誰かと出掛けようものなら全て彼にバレてしまう。…私は朝起きてから眠りにつくその瞬間まで、赤いそれが頭から離れなくなった。何もするにも、それがどこかで監視しているのでは、という考えが止まらなくなった。でも、監視されていることについては最早どうでも良かった。私は羽根を見ると、彼に信用されてないんだということを実感し、悲しくなった。こんなにもあなたを愛してるのに。 浮気なんてするはずないのに。 …それなのに、いつになっても彼は私を信じてはくれない。
「…嫌ですか?行動を把握されるのは」
「…嫌だって言ったら、やめてくれるの?」
「……はは、まぁ…確かに嫌だと言ったところで やめるつもりはありませんけど」
彼はへらへらと笑いつつも、光のない瞳で私を見つめてくる。…あとどのくらい愛を伝えれば、彼は私を信用してくれるのだろう。「愛してるよ、啓悟」機械的に出す言葉。彼は私を抱き締めると、「…俺も、愛しとうよ」 髪を撫でながら、囁き返す。彼の言葉は決して嘘じゃないと分かる。だからこそ、どうしようもなく苦しくて。「愛してる、愛してる…」 うわ言のように愛を零す。ぽたり、ぽたり。零れたそれは、彼の肩に流れて、落ちて、無数の淡い染みを生んでいくだけだった。
─ホークス side─