「可愛いね」って言ってみた(爆豪)






とある日の休日。お互い気を遣うことなく寛いでスマホをいじる、二人きりの部屋の中。ふと彼の方をちらりと見れば、唇をムッと突き上げる姿が目に入って。何だか妙に幼く見える彼にふふ、と笑いを零せば、彼もこちらに目を向けてくる。私の言葉を待つその視線に、「勝己って可愛いよね」と返すと顔を顰める彼。 その表情は、“お前それ本当に俺に向けて言ってんのか”と訴えていて。肯定するように微笑みかけると、彼は眉間の皺を更に深くする。

「そんなきめェこと言うのお前ぐらいだわ」

心底呆れたような顔をした彼はスマホを机に置くと、 こちらに向かい合ってくる。それに習うようにこちらもスマホを閉じれば、彼は口を開いた。

「そういうのはな、 本当に可愛いモンに使う言葉なんだよ」

「えー例えば?」

「…テメェ、最初からそれが狙いか」

ジト目をする彼もまた可愛らしくて。内心苦笑しつつ、言葉を連ねる。

「ごめん、冗談だってば。それにこんなこと言うあたり、私ってそんなに可愛い女じゃないでしょ?」

最初から彼が “可愛い” だなんて言ってくれるのは期待してないので、軽く笑い飛ばしてしまう。すると彼はこちらに体を寄せ、 さらりと髪を耳に掛けてくる。彼の熱い指先が耳を掠め、擽ったそうな顔をすれば、彼はフッと笑った。

「アホ。 ……クソ可愛いに決まってンだろ」

ぼふん。 そんな効果音と共に、体中の熱が急激に上昇する。

「う、そ…」

辛うじて漏れたのはそんな言葉。

「お前ェに使わなかったらンな言葉使い道ねぇわ」

そんな追い討ちをかけてくる彼がしたり顔をすれば、 ついに何も言えなくなってしまった。




backtop