食堂での昼食の最中。彼とは別々に食べているし、近くの席という訳でもないけれど、「いやーほんっと爆豪の彼女ちゃん可愛いよなぁ」 という上鳴君の声が聞こえて、思わずどきりとする。騒がしい食堂内でも、自分や彼に関する話題は自然と耳に入ってきてしまって。
「…あ゙?」
「あのぱっちりした目が特にいいと思うなー」
「わかる!あの目で見られたらこう、庇護欲掻き立てられるというか」
「おい馬鹿やめろって!それ以上は爆豪が…」
その後も彼が何か騒ぎ立てているようだが頭に入ってこない。アイプチをして何とか大きく見せている目。彼もこれが好きなら、 バレてしまったら、 幻滅するだろうか?そんな考えが頭を過って。
彼との帰り道、引き伸ばすくらいなら早く伝えるべきだと判断して、「…私アイプチしてるんだ」 と彼に言ってみる。怖くて彼の顔が見れなかったけれど、返ってきた言葉は、「は?ンなもん最初から知っとるわ」 という予想外のもの。才能マンの彼はこんなところまでお見通しだったようで。驚いて思わず顔を見上げてみれば、それが何だ、とでも言うような彼の顔が。こちらの表情と先程の言動から全てを察した彼は足を止め、じっと見つめてくる。
「一重になった所で、てめェの何かが変わンのかよ」
「…変わるよ。目の大きさとか全然ちが、」
「いや、 変わんねェな。俺が惚れたお前はンなクソしょうもねェことで変わったりしねェよ」
見て呉れしか知らねぇやつなんざ放っとけ。
そこまで吐くと、彼はこちらから目を逸らし、ずんずんと歩いていく。夕陽に照らされた眩しくて暖かくて愛しい背中を追いかけて 、「好き」 と呟くと、彼は 「知っとるわ」 なんて言いながらポケットに両手を突っ込んだ。