『いやーやっぱ二重って最高ですね』
起床後。何となくつけていたテレビに映るのは、とある街頭インタビュー。やっぱり男の人って二重が好きなんだなぁ、とぼんやり考えながら、 彼とのデートの為にいつも通りアイプチをして。
…そんな出来事があったからか、待ち合わせの場所で彼に可愛いな、と言って貰えても素直に喜べない。
「…焦凍は二重、好き?」
なんの前触れもなく尋ねられて彼はきょとんとするけれど、次にはじっとこちらを見つめてくる。
色々な意味でどきどきしながら彼の返答を待っていると、
「…ああ。好きだ」
とふわり笑いかけられて。好きだなんて本来なら嬉しい言葉のはずなのに、胸に仄かな痛みが走る。傷ついたような表情を見せるこちらの様子に戸惑う彼に向け、「…私ね、アイプチしてるの」 自嘲気味に言うと、彼はますます困惑する。
「あい…ぷち?」
「えっと…二重を作ってるってことだよ。だから実は私、本当は一重なの」
細々と零せば、彼はやっと言葉の意味を理解する。そして俯くこちらの頬に手を当て、目を合わせてきて。
「俺の言葉で気を悪くさせたなら悪ぃ…でも、俺が二重が好きだと言ったのは、お前がそうだと思ったからだ。俺はお前なら一重でも二重でも、なんでも好きだ」
そう微笑む彼の慈愛に満ちた瞳は、 不安な心をどこまでも優しく溶かしていく。「…私もどんな焦凍だって好きだよ」 と笑えば、全ての不安を払拭するような優しい口付けが降り注いできた。