「僕、実はそれ知ってたんだ」
勇気を振り絞ってカミングアウトしたのに、まさかの知られていたという事実が発覚。今まで誰にも指摘されなかったのに、よりにもよって一番知られたくない人に知られていた事実には驚く他ない。
「えっと…どうして…?」
「うーん…君の瞳を見ているときに違和感を感じたからかな?」
どうやら彼、どこぞの才能マンとは違い、年々積み重ねてきた観察眼からアイプチに気づいたらしい。
「君の口から伝えてくれて嬉しいよ。…本音を言えば、ありのままの君を見てみたいと思うけど」
だって、どんな君だって絶対に可愛いから。
そう言って、にこりと純真な微笑みを見せる彼に胸が跳ねる。
「…いいよ、出久くんなら」
「えっ、ほ、本当に!?」
勇気を出したのはこっちなのに、なぜか自分以上に胸を高鳴らせている彼が何だか面白い。なんで私よりどきどきしてるの、と笑えば、「え、いやぁ…他のみんなが知らない君の素顔を見れると思うと、こう…」 なんて返ってくるから 「もう…」 と呆れたようにクスクスと笑ってしまう。
とりあえず今回はお開きにしよう、ということで彼に別れを告げ、そのまま立ち去ろうとすると、背後から彼に手を取られて。なに、と発する間もなく耳元に彼の息が掠める。
「…それじゃあ週末、僕の部屋おいで」
男の子にしては高めの彼の声が、やけに低く艶っぽく響き渡る。ハッとして振り返った頃には反対方向に向かう彼の背中しか見えなくて。
「…一重を見るってこと?」
口から出そうな心臓を押し込めてそう吐き出せば、ぴたりと立ち止まった彼が振り向き、人差し指を唇に当てる。にこり。その笑顔には純真、というよりはさぁ?というような悪戯っぽい意味合いを孕んでいた。