「…一重?お前が?」
「うん」
「…何のための冗談?」
「いや、本当だから。作ってる二重なの」
「……マジか」
彼が顔で恋人を選ぶような人では無いことは分かりきっているので、驚かせるような気持ちでカミングアウト。目を丸くした後に、「すご」 「やば」 なんて感心したように呟きながら、じーっとこちらを見てくる彼が、何だか可愛らしい。せっかくならアイプチをする過程を見せてあげよう、と思ってそれを提案すると、こくりと頷いたので、水で落ちるタイプのアイプチを濡れたコットンで拭き取って見せる。
さて彼はどんな反応を見せるのか。瞑っていた目をゆっくりと開き、鏡に映る彼の方を見れば、僅かに見開かれる紅。やっぱりびっくりするよなぁ、なんて思いながら「…どう思った?」 と遠慮がちに聞いてみる。
「…まぁ、驚いたけど」
いや見たまんまの感想…!と心で突っ込みつつも、嫌悪感は感じられないので一安心。
「じゃあ今からやってみるからしっかり見ててね」
そうして再び二重を作ろうとするとふと彼の中指から小指までの3本の指が肩を掴む。アイプチをするために注視していた自らの瞳から目を離し、鏡越しに彼を見れば、 彼も鏡に映るこちらの姿を見つめていて。
「…そっちも悪くないんじゃない?」
どきり。
そんなことを言われてしまっては、ときめかないわけがない。じわじわと熱くなっていく頬が、こちらの顔を見つめてくる彼の瞳が、全て目の前の鏡に晒されて、突き付けられて。それから目を背けたいと思っても後ろには彼が立っているから、
自然と顔は下を向く。すると彼は右後ろから耳元へと口を寄せて。
「…もっと良く見せろ」
囁かれる言葉にびくりと肩を跳ねさせ、思わず前を見ると、意地悪そうな彼の表情が。逸る鼓動に導かれるように振り返れば、少しカサついた彼の唇が、戯れのように優しく触れた。