「…あのね、私実はアイプチしてるんだ」
「へぇ」
「……」
終わった。 信じられない。 まさかここまで興味が無いとは。ドン引きされるよりはマシだけど、何かしらで彼の気を引こうとした結果、勇気を振り絞ってカミングアウトしたのに。はぁ、と思わずため息を漏らそうとすると、「で?見せてくれんだろ?」 と彼の声。
…なんだ、結局ちょっとは気になってるんじゃないか。ふふ、と笑みを零しながら洗面台でそれを落としにいく。
「どう?」
「……」
「…ちょっと、何か言ってよ」
「……女って怖ェな」
「…はぁ!?」
デリカシーの欠けらも無い言葉にカッと熱が集まる。まぁ当然怒りもあったけれど、やっぱり彼も男なんだな、なんて落ち込んでしまう。
「…なら元から二重の可愛い子でも見つけてきたら」
本当に。見た目だけに留まらず、中身だって可愛くない。分かっているけれど、口は止まらなくて。つん、とそっぽを向いていたら、不意に腕を強く引かれる。何かを考える暇もなく、気づいたら近くのソファーに投げ込まれていた。それからまじまじとこちらを見てくる彼に、若干戸惑う。
「…ハッ、ここまで来ると詐欺だろ」
「っ、だから元がいい子を探せば、」
「関係ねェけどな」
「…え?」
言葉の意味を図りかねて目を丸くすれば、スっと目を細める彼。
「ンなことで俺から解放されようとでも思ってるのか?…そう易々と逃がしてたまるかよ」
その言葉から彼が何か勘違いをしていることは分かったけれど、口を開こうとすれば唇を塞がれるので、一言も発することが許されない。両腕を上で纏められ、両脚の間に膝を挟まれれば、文字通り逃げることが出来なくなる。“ 残念だったなァ? ”
そう愉しげに嗤う彼の真意は、一体何なのだろうか。