友人に頼まれた数合わせの合コン、参加してもいいか聞いてみた(品田辰雄)





「え、合コン!?」

目を丸くして驚く彼だけど、 「うーん……」 と考え込んでる様子から、どうやら断固拒否という訳ではない模様。腕を組んで悩みに悩んだ結果、彼は決心したようにこちらを見る。

「どーーしても!って言うならいいよ。名前ちゃんのこと信頼してるから、俺」
「本当?いいの?」
「うん。男に二言はないってね!」

そう言ってサムズアップする彼に、くすりと笑いが零れる。
彼の気が変わらない内に早速友達に連絡しようとしたけれど彼はぶつぶつと独り言を言いながら、再び唸り出して。

「うーーーーん、でもやっぱり行かせたくないなぁ...だって名前ちゃんって、誰がどう見ても可愛いし美人だし、彼女いない男がほっとくわけないもん。もし合コンの相手が俺だったら、まず間違いなくアタックしちゃうね!そんでもって、あわよくばお持ち帰、……」

そこまで言ったところで、彼の顔はみるみるうちに青ざめていって。そのまま勢いよくこちらの肩を掴んでくるものだから驚いてしまう。

「だっ、だめ!やっぱだめ!前言撤回!人のこと言えたもんじゃないけど……分かってるけど!でもお持ち帰りはさすがに許可できないよ!」

泣きそうな顔で訴えてくるし、終いには 「俺の事捨てないで」なんて言ってくるから、これはさすがに折れるしかない。「合コンはもう行かないし、私は品田さんを捨てたりなんてしないから安心して?」 なんだかんだで愛おしくて仕方ない彼に優しく微笑み、柔く髪を撫でれば、心の底から嬉しそうな表情に変わって。甘えるように手に頬を擦り寄せてくる。

「……俺も、君から絶対に離れてやらないからね?」

悪戯っぽく微笑む彼に、思わずきゅんとしたのは秘密だ。




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