あなたが珍しく落ち込んでしまったとき(桐生一馬)





沈んでいる人を見れば声をかけずにはいられない彼。ましてやそれが自分にとって大切な人なら尚更。

「……随分と落ち込んでるな。なにがあった」

こうやって、何も言わなくても気づいたら横に立っていて声をかけてくれる。

「言いたくねぇなら無理にとは言わねぇ。だが、一人で抱え込むより、人に頼れば楽になることもあるだろ?その重荷、俺にも背負わせちゃくれねぇか」

悩みを打ち明けやすい人ランキング殿堂入りの男。普段から道行く人の相談に乗ってる(巻き込まれてるともいう)経験が活きてる。こういう人を聞き上手というのだろうか、他の人には言えないこともなぜか彼には打ち明けられてしまう。

今回の発言に関してはベストオブお前が言うな感が否めないけれど、とりあえずそこには目を瞑り、落ち込むに至った経緯を話す。

その間、変に口を挟まず静かに聞いてくれるから心地いいし、かと言ってずっと黙っている訳ではなく必要に応じて的確に慰めの言葉をくれる彼だから、一通り話し終えたあとはかなり気分が楽になる。

「……辛かっただろう。話してくれてありがとな」

感謝を言いたいのはこちらの方なのに、そんなふうに言ってくるのがずるい。それから落ち着くまでずっとそばに居てくれるしめいいっぱい甘やかしてくれるのさすがすぎる……。




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