「(名前ちゃん、どうか無事でいてくれ……!)」
その気持ちで一心不乱に探し続けてくれる彼。そしてついに恋人のいる場所まで辿り着くと、目に入ってきた光景に瞠目する。しかしそれも一瞬、次には拳を握りしめ、
「それ以上、汚ぇ手でその子に触れるんじゃねぇ!」
そう叫んで男を殴り飛ばす姿はまさに勇者。彼は相手が怯んだ隙に、こちらを庇うように前に立つと、ファイテングポーズを取る。
「…てめぇら、ぶちのめされる覚悟はできてんだろうな」
強い眼光で睨みつける彼に、相手は凄む。1:1では分が悪いと集団で彼に攻撃を仕掛けるが、彼はそれを物とも
せず、あっという間に全員を戦闘不能にさせる。
誰も立ち上がれなくなったことを確認すると、彼はこちらの前に来てしゃがみ込んで。引き裂かれた服や諸々を見て息飲むも、自らのジャケットを羽織らせて、優しく抱き締めてくれる。
「…遅くなって、本当にすまねぇ。怖かったよな…でも、もう大丈夫だ」
耳元に響く心地よい彼の声は、言葉通りもう大丈夫なのだと感じさせてくれるから、思わず涙が溢れてしまう。年甲斐もなく声を上げて泣いている間も、彼は優しく背中を摩って、こちらが落ち着くまでずっと慰めていてくれる。
それから家に帰ってシャワーを浴びた後、もう夜中だし寝る流れになるんだけど、
「……サッちゃんとか呼んだ方がいいか?」
なんて唐突に聞いてきて。頭に?マークを浮かべていると、少し迷うような素振りを見せながらも彼は口を開く。
「…本当は俺がそばにいてやりてぇけどよ…あんなことがあった後だ。男といるのは怖ぇんじゃねぇか」
こういう気遣いができるところが、さすが春日一番という男。そんな彼の優しさに胸を温めつつ、
「相手が春日さんなら、大丈夫です。…むしろ、一緒にいて欲しいです」
と嘘偽りない本音を伝えれば、それがちゃんと伝わったのか、
「……へへっ、そうか」
と彼は嬉しそうにはにかんだ。
それからベッドに入った後は、もっと近くにいって大丈夫か、って一々確認してくれるし、襲われたときのことを思い出して涙を流していたら、即座に気づいて抱き締めてくれる彼。救出からアフターケアまでまさに理想の流れすぎて、惚れ直すしかない……。