友人に頼まれた数合わせの合コン、参加してもいいか聞いてみた(冴島大河)





「……ごうこん、やと?」

まるで初めて口にしましたという風に言うから少し笑いそうになる。

「兄弟から聞いたことあるで。何や男女が入り乱れる乱交パ」

はい。正しい言葉の意味を知らない男その2。
自分の兄弟にいらん知識植え付けられている人。正直、冴島さんはそろそろ怒っていいと思う。

「違います!いつも言ってますけど、真島さんの言うこと全部信じちゃダメですよ、冴島さん!」
「ほんなら、ほんまはどういう意味なんや」
「……出会い目的の飲み会、ですかね?」
「……なんや、結果的に兄弟の言っとることと変わらんやないか」

そう言って少し眉間に皺を寄せる彼に、「私は早めに切り上げるつもりですし、 もちろん連絡先は誰にも教えませんよ?」と言ってみるけれど、彼の表情に変化はなく。そのまま口を引き結んでしまった彼を、そわそわと見つめていれば、ふと何かを決意したような視線をこちらに向けてきて。

「……ほんまに行きたいんやったらええ。無理には止めんわ」

先ほどの態度からは想像できない答えが返ってくるから、内心驚いてしまう。

もしかして呆れられてしまったのだろうか?
不安になりながら彼に声を掛けようとする。
────と。

「……明日、動ければの話やけどな」
「……え?」

彼が小声で何かを呟いたと思った瞬間、流れるような速さでこちらを横抱きにし、そのまま連れられたベッドの上に落とされて。

「……今からたっぷり刻んだる。名前が誰のモンなのかをな。せやったら、他の男に目移りすることもないやろ」

彼は捕食者の目でこちらを見下ろし、不敵な笑みを浮かべていて。普段あまり見ない表情にどきり、 とときめくのも一瞬。

そこからは、まさに食われるというのはこういうことなのだと、一夜にして理解させられることになった。

……翌日、体が言うことを聞かず、合コンはもちろん行けなかった。というかそもそもこの男、許可したわりには、絶対に、確実に、最初から行かせる気がなかったとしか思えない。痛む体を擦りながら、先程からすっとぼける彼をジト目で見れば、フイと視線を逸らして。

「……大人げなかったんは認める。せやけど謝る気はないで」

なんて言ってくるから、子供の言い訳みたいで少し可愛いと思ってしまった。




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