道端で名前を見つけた秋山さん、当たり前のように名前に近づいていって
「そんな可愛い服着て誰に会いに行くの?」
って話しかけてくる。名前は他の人にもこうなんだろうなと思ってるし日常茶飯事だから特に照れることもなく、こんにちは秋山さん、なんて挨拶するけれど、実は一筋な秋山さんに気づいてない。
「誰に会う予定もないですよ。普通に買い物です」
「いいね。それ、俺もついて行っていいかな。荷物持ちなら喜んでするし、今ならタダの夕食も付いてくるよ?」
どう?ってウィンクしてくるのチャラ男感満載なのに、彼だと似合うのが不思議。
「そんな…悪いですよ」
「うーん、じゃあ言い方変えよっか。…俺とデートしてくれない?」
声色低くしてきて、距離も縮まってくるから動揺していると、ドン、と秋山さんの肩に通行人が勢いよくぶつかって。
「…あー、すみません。ちょっとコレに夢中になってて」
耳元のイヤホンを指差すのは谷村さん。
「…偶然だね、谷村さん。狙ったようなタイミングで驚いたけど」
「いいタイミングだったんですか?それは良かったです」
「…性格悪いって言われない?女の子に嫌われちゃうよ?」
「別にいいですよ。俺が好かれたいのは一人だけなんで」
「「……。」」
…みたいなやり取りを永遠に見ていたいという話。