むかしむかし、あるところにとても恵まれた惑星がありました。
ありました、と断言してしまっていいのか、わたしにはわからないけれど、教科書にはそう書いてあるのです。
どんなふうに恵まれていたのか、その星を、その星に住んでいた生き物たちがなんと呼んでいたか、われわれにはわかりません。
だけど、語り継がれてきた歴史に、物語に、歌に、そう記されているのです。
私たちはたびたび教科書や小説に出てくるその星を「惑星1」と呼んでいます。
この「惑星」という、不思議な響きの言葉が好きでした。

「1」は「始まり」という意味なのだと、あの人が言っていました。

全ての始まりがそこにあるのだと。
私はいつか、自分の始まりを見てみたいと、そう思うのです。

up:20171005
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