平和に行きましょう。
六話:残酷な世界
エマside
私たちはこのハウスの秘密を知ってしまった。
ここはただの孤児院ではなく、農園…そして私たちは「食用児」だった
これ以上大切な家族を失わせないために、ノーマンと一緒に脱出する方法を考えていた
ママを見るのが怖くなってきた、ノーマンにいつも道理にふるまう様にと言われたけど中々できないでいた。
森の中にある柵を超えたところに何があるのかを調べるのは明日にすることにしていた
でも明日の夜にはソウマが出荷されてしまう
どうして、脳が大事だというのならこの間フルスコアを出したソウマが出荷されなくちゃいけないの?!
もうこれ以上、大切な家族を失いたくない!
ノーマンと共に対策を立てようとするも時間もそれを可能にさせる者もないことで私たちはまた、何もできなまま彼女が出荷されるのを大人しく見送るしかできなかった
エマ「……」
「……エマ?…どうしたの?いたいよ?」
エマ「えっ?あ、ご、ごめん!!考え事してて汗)
さぁ、とびっきり可愛くしよう?ほら、椅子に座って?」
「うん!」
ソウマはショートヘアだから結ぶ髪もないのだけどね苦笑いしながら素直にドレッサーの前に座ると私はこれから消えゆく命を抱きしめた
「……エマ?」
エマ「…わたし、…っく、嫌だよ…これ以上…みんなを失いたくない!」
何もできないの?本当にこのまま、行かせていいの?
ノーマンには普段道理と言われたけど私は笑って見送りなんてできない…。
我慢できず、涙がぽろぽろと流れ落ちていくのがわかる
なんで泣いているのか不思議に思ったのか私の頭を撫でながら笑っていった
「エマ…大丈夫だよ…、今は離れ離れになってもいつか、必ず会えるから」
違う、違うんだよ…ソウマ、これから鬼に殺されちゃうんだよ…
だからもう、二度と会えないんだ…
逃げて、このハウスから…と言いたいけれど逃げたところで捕まって結局殺されちゃう
なら、知らない方がまだ…いいのかな?
「だから、寂しくてもエマやみんながまた笑顔で元気に走り回ってくれていた方が私たちはうれしいよ…」
私は涙を乱暴に拭って「うん」と笑って見せた
ーさよならは始まる合図涙さえも風になったよ
泣き出しそうな夕暮れの赤 君と並んで歩く
エマ「……」
ー目を背けていた鏡の奥 もう何も怖くない
一人じゃないよ 目を覚ましたんだ
寂しげな世界で探していた 夢の続きはこの目でずっと
この先も一緒に…
私の気持ちを知っているのかのようにその歌は、大丈夫だよと励ましてくれているような気がした
そしてハウスの玄関口にみんなが集まりママとソウマと対面するように立ち並び
見送りをする、同い年の子たちとか仲が良かったドンとかも涙を流しながらお別れの言葉を言った
「……みんな、私はみんなと違って体も強くなくてすぐに体調を崩しちゃうけどみんなが面倒見てくれたおかげで今日まで健康的に過ごすことが出来たの。
ありがとう!わたしこのハウスで過ごすことが出来て幸せだったよ!
みんなも元気に遊んで、またどこかで“生きて会おうね”」
ソウマは純粋な笑みを浮かべた
みんなはハウスを出ていくことが悲しくて泣くのを我慢しているようだ
ドン「ソウマ、里親のところでもちゃんと元気でやるんだぞ!」
フィル「絶対遊びに行くからね!!」
「うん!!“約束”だよ!」
ママ「そろそろ時間よ…ソウマ」
「うん…さようなら!またね」
エマ「ソウマ!」
私は我慢できなくなりソウマの名前を呼んだ。だけどソウマはすでにハウスの外を出ていてママが扉を閉めるところだった。
「…今までありがとう、エマ元気でね」
ソウマが笑顔で手を振っていた。
パタンという扉を閉まる音が部屋に響きわたるのを確認すると私は両膝から崩れ落ちた
しくしくと泣く子供たちをドン・とギルダたちが励まし部屋に連れて行っていた
私はそんな気配を感じ取りながらも閉じられた扉を見つめていた
ノーマン「……エマ」
エマ「…っく、…ひっく、…」
私の本当の心境を知っているノーマンは悔しそうにしながら私の方へ手を差し伸べた
顔をあげるとノーマンもなくのをこらえている表情だった
エマ「うぅ、……うわぁああ〜ん」
我慢できずに私はその場で泣き叫んだ。ノーマンも声を出すわけではないが涙を流していた。お互いに抱きしめて涙を流した。
私たちは重たい体に鞭をうちそれぞれの部屋に戻った
その様子を見ていたものがいたことに私たちは気づかなかった
「………」
ごめんね、ごめんね…ソウマ。私たち、あなたを助けることが出来なくて…。
もう一度門へ行ってその姿を確認する勇気なんて私たちにはもう、なかった
家族があんな姿になるのをもう、見たくない…ごめんね?
真実を知っていたのに…それを告げることをしなくて…
見捨てたりしてごめんね?
私たちを恨んでいい…呪っていいから…。
私たちがどうか…生きることを、許してください…。
わたしはいつの間にか布団に戻り眠りについていたことに気づかず次に目を覚ました時には朝を迎えていた。
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