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その日、僕らは映画でも見ようと二人でレンタルビデオ屋へ行った。承太郎はずっと邦画を探しているようだ。僕は何にしようかとふらふらと色々なコーナーを見て回っている。承太郎の事だから、恋愛モノや感動モノは退屈だろうか。ここはアクション映画かSFかな、と思いコーナーを探していると、ふとピンクの暖簾がかかった一角を見つけてしまった。

「……」

僕は周りに人がいないことを確認し、さっと暖簾をくぐる。勿論、イケナイことをしていることは百も承知だが、パッケージぐらいならいいだろう、なんて思春期特有の好奇心が僕を突き動かした。






「……な、」
「…どうした花京院、こんなところで」

なんだこれは、という言葉は承太郎の言葉で遮られた。というか、承太郎が後ろに来ているのに気づかなかったなんて、動揺しているのか?それもそうか、だって、まさか

「承太郎、これを、見てくれないか」
「あ?…、!!」

名前ちゃんにそっくりな女の子が全身精液まみれになったパッケージ。まさか、彼女本人なわけはないだろうけど。

「…似てるな。瓜二つだ」
「……承太郎、気にならないかい?」
「………馬鹿馬鹿しい。名前なわけがねえだろう」

あ、本当は承太郎も気になるんだ。それもそうか。多分承太郎も名前ちゃんのことは好きだろうし。好きな子がこんなエッチな姿で乱れてるのかと思ったらそりゃあ気になるよね。

「僕としては本人じゃないことをこの目で確かめたいわけなんだけど、承太郎は?」
「……」

承太郎は僕の手から無言でビデオを引ったくり、そのままレジへ。まさか、承太郎が不良のレッテルを貼られていることに感謝することになるとは。制止する店員を力ずくで押さえ付け、僕らはそのアダルトビデオを手に入れた。

そこから僕の家までの道程は正直覚えていない。承太郎と会話したような気もするけど、何を喋ったか全くと言っていいほど覚えていなかった。少しの期待と不安がぐるぐると渦巻いて、軽く目眩がした。



「じゃあ、いくよ、」
「…ああ」

僕の部屋に承太郎と二人、決して大きくはないテレビを囲んでそわそわしている。ビデオデッキには先程借りてきたあのビデオがセットされていた。再生ボタンを押すと、ゆっくりと始まった。




『んあ、いや!ああ、やめて』
『無理矢理されて感じてるのか、変態だな』
『ひ、あ…むり、そんな、いっきに、ァ、ああ、嫌、やぁ!ぁアあ!!』


ビデオの内容は端的に言うと強姦モノだった。名前ちゃんにそっくりな女の子が、その子に好意を寄せている同級生の男二人に、放課後の教室で無理矢理犯される。ありがちなシチュエーションだけど、妙に興奮した。それよりも、問題はこの女の子だ。別人だという確証を得るために見始めたはずなのに、声も顔も、写真じゃなく動画になっても名前ちゃん本人としか思えなかった。ああ、名前ちゃんはこんな風に喘ぐのか、こんな風によがるのか、なんて考えていると腰が疼いた。

『ああ、イッ、くァあ、ダメ、中、ダメなの!嫌ぁ、ぁああーっ!!』

中出しされ、身体にかけられ、精液まみれの名前ちゃんそっくりな子の虚ろな顔と、脚の付け根にあったホクロが、やけに目についた。

「……花京院」
「、ああ、ちょっと刺激が強すぎたな、」
「そんなことより、見たか。あの女、脚の付け根にほくろがあっただろう。右脚だ。名前のソコを確認すれば本人かどうか分かるだろう。今から確認しに行くぜ」

承太郎は冷静だな。本人じゃないと割り切って見ていたんだろうか。僕はまだ落ち着かなかった。というか正直承太郎が居なければ一回抜きたいぐらいだ。

「…その前にトイレを借りるぞ」

なんだ、どうやら承太郎も僕と同じようだ。









「名前ちゃん」
「あれ?花京院くんに空条くん。どうしたの?こんな時間に」
「いいから、何も言わずに僕の家に来てくれないかな?」
「ええ?もうすぐご飯なのに」
「オラ、早く来い」
「やぁ、空条くん、痛い!分かったから!腕離して!」

腕を離して、痛いと抵抗する名前ちゃんが、さっきのビデオの女の子と被って見えて、物凄く興奮した。そんな調子で我が家に着くと、名前ちゃんを僕の部屋まで誘導した。そして、名前ちゃんを僕のベッドに座らせて僕と承太郎は床に座った。

「なあに?早く終わる用事?」
「ああ、確認するだけだ」
「何を、?!」

名前ちゃんが言い終わる前に、承太郎は彼女のスカートを捲り、膝から脚の付け根まで指でなぞった。

「やだ、あ!何するの!!」

真っ赤な顔で泣きそうなのを堪えながら怒っている名前ちゃんが、誘っているようにしか見えなかった。

「……ないな」
「う、やだ、空条くん、離して、」
「ああ、悪いな」
「なんで、こんなことしたの」

不機嫌そうな名前ちゃんに申し訳ない気持ちが湧いたけれども、それ以上に安堵が勝った。よかった、やっぱりあの女の子は別人だったんだ。さて、そうなると今度はどう言い訳をすればいいんだろう。と、頭をフル回転させたが、その前に承太郎がとんでもないことをし出した。

「お前に似てる女がアダルトビデオに出てたから、一応確認しようと思ってな」
「あっ、アダルトビデオ?」
「男女がセックスしてる映像だ。ほら、これお前に似てるだろう」

ビデオのパッケージを見せると名前ちゃんが再び顔を真っ赤にして顔を隠し始めた。それを見た承太郎は悪ノリしてビデオを再生し始めた。僕は知らないからな。

「なあ、見た目だけじゃくて声も似てるんだぜ、名前はこんな風に喘ぐのか、ってつい考えちまった」
「うう、わたし、こんなじゃない」
「へえ、じゃあどんな声を出すんだ?」
「し、知らない!私こんなことしたことないもの!」

その言葉は、ただの起爆剤にしかならないことをこの子は知らないのだろう。完全に火が着いた、というような表情の承太郎はまるで野生の狼のようだった。

「それじゃあ本当に別人かどうか、もっと検証しないといけねえな」
「承太郎、それならまるっきり同じシチュエーションにしないと」
「…好きにしろ」

「待って、嫌、いやあ!!」


場所は違うものの、ビデオと全く同じシチュエーションになってしまったことを、名前ちゃんは知る由もない。
(続く)


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