1 僕が承太郎達のエジプト旅行についていくことを決めたその日に、名前に報告した。すると彼女は、少し涙を見せながら、すぐに帰ってくるよね?と不安そうな顔で僕を見つめた。無事に帰ってくることが出来るか、正直僕には分からない。嘘は極力吐きたくはないけれど、正直に言えば彼女はきっと行かないでと駄々をこねるだろう。僕はどうしても行かなくてはならない。元々、承太郎に肉の眼を取って貰わなければあと数日の命だったのだ。承太郎のためならば命を賭けてでも敵とやりあう意味がある。否、そうしなくてはならない。 「私、何にも出来ないけど、その旅行に、ついていっては駄目?」 「ああ、危険だから、名前はここで待っていてくれないか?」 僕はそう言って彼女を突き放すことしか出来なかった。 典明くんが、エジプトに行くと言ったとき、私はどうしようもなく不安だった。ただ観光に行くような顔付きではないことぐらい、私にも分かっていた。覚悟を決めた顔と言うのだろうか。私は不安でいっぱいだった。 勿論、ついていきたいという希望は却下され、私はどうすればいいの分からなかった。 「心配なの。不安なの」 「分かっているよ。心配かけて、不安にさせてすまない」 そういうと典明くんは私を抱き締めた。いつもと違う力強い抱擁に、私は呼吸が出来なくなりそうだと、ぼんやり考えていた。そしてぼんやりしていたせいだろうか、考えていたことが軽率にも口に出てしまった。 「抱いて」 典明くんは目を見開いてこちらを見た。 今何と言っていた?名前の口から信じられない台詞が聞こえた気がしたが。僕が呆然としていると、彼女は駄目押しの一声と言わんばかりに抱いて欲しい、と口にした。今まで周りに流されることなくプラトニックな付き合いを貫いてきた僕と名前だが、ついに交わってしまうのか、と少し高揚した。そんな浮わつくような場面ではないとは分かっているのだが、女の子のほうからお誘いを受けるなんて、願ってもないことだ。 「いいの、か?」 「うん、典明くんだから。お願い。典明くんがエジプトから帰ってくるまで消えないように沢山痕をつけて欲しいの」 彼女はそういうと制服を少しずらし、髪を掻き分けると、白い首筋を見せた。こんなにも艶かしい名前を見るのは初めてで、イヤらしく誘うその首筋は、口付けずにはいられなかった。 首筋に唇を這わすと、名前は身体をぴくりと反応させ、首筋をちゅぅっと吸い上げると、小さく声をあげながら僕にしがみついてきた。何度も何度も角度を変え、ちゅ、ちゅ、と音をたてながら首筋に吸い付くと、彼女は矯声を僕の脳に響かせながら、身体を捩らせた。そして、一息つくと鬱血痕が薔薇のように咲き誇っていた。その姿は独占欲と性欲を掻き立てるには十分過ぎるほどで、僕は彼女をひたすら抱いた。 「ねぇ、お願い。ちゃんと、この痕が消えるまでに帰ってきてね」 「うん」 「典明…愛してる」 「…名前、」 僕は裸のままの姿で、裸のままの名前を抱き締めた。そして、耳許で愛してるよ、と囁いた。 コバルトブルー (名前は、痕が次第に消えていくのを寂しく思いながら、今日も花京院を待ち続ける) [ <<Jogio top ] |