いつも通りの少女
〇〇が目覚めたときには日が暮れようとしていた。
眠りすぎた後特有の気怠さが身体にまとわりついているようで、ぼうっと宙を見つめていた。
「起きたか」
「あ…ドフィ、お帰りなさい」
ドアをいつもより静かに開けて側による。〇〇が身体を起こすと湿らせたタオルが額から落ちた。
「これ…ドフィが?」
「体の調子はどうだ、なんか食うか?」
平気、大丈夫、と言いながら〇〇はドフラミンゴの握る果物の籠を見た。その小ぶりな可愛らしさと優しい雰囲気が、どうにもミスマッチだったのだろう、〇〇から笑いが溢れた。
「似合わないね」
「フッフッフッ!誰の為だと思ってんだ」
ドフラミンゴはベッドへ腰を下ろす。〇〇の頬へできるだけゆっくりと、手を伸ばす。〇〇はいつも触れる直前身体をびくりと震わせるのだ。
「わたし、まだもうちょっと、此処にいようと思ってる。いい…?」
少し震えながら話す彼女。
ドフラミンゴは口を真っ直ぐに結んだ。頬を撫でる手が止めた。
「良いも悪いも、俺がお前を逃がすと思うか?前も言っただろう、何処にも行かせるわけがねェ」
〇〇が何処か、自分の元を離れて行くというのなら、きっともう生かしては置けない。ドフラミンゴはドス黒く重い感情が腹のなかで暴れていることを痛いほど感じていた。
〇〇は薄く笑いながら言う。
「此処にきた時より、今は、ドフィのこと、嫌いじゃない」
「フッフッフッ!そうか、俺もだ」
ドフラミンゴは〇〇の身体を引き寄せる。苦しいほどきつく抱き締めた。
「〇〇…」
〇〇は薄く目を開いて、ドフラミンゴを身体いっぱいに感じながら考えていた。
未だに何故自分のことをこれほど想ってくれているか分からない。自分はただの女遊びの一欠片に過ぎないと思っていた。しかしこうも余裕のない所を見せられると、違う。
今日は突き飛ばさなくてもいいかな、なんてことも思っていると、するり、と太腿に手が這った。
そこからの〇〇の動作は早い。ドフラミンゴをベッドに沈めて自分は抜け出す。
「調子に乗るな阿呆鳥!!!」
呆れたような、少し楽しそうな表情で彼女は言い、部屋を出て行く。
「ひどいぜ、、〇〇チャン」
吊り上がった口角がドフラミンゴの機嫌の良さを表していた。
部屋を出ていった彼女は大抵キッチンか甲板にいるか、ローに構われているはずだ。忘れ物のピンクの羽の羽織を持ち、ドフラミンゴも部屋を出る。
少し行ったところで、ローに捕まり、薄着を叱られている〇〇を見つける。
上から羽織をかけて、ローから攫うように持ち上げると、いつものようにバタバタと暴れながら、嫌がる言葉を発して入るが、表情は前より柔らかい。
ローも気づいたようで、ドフラミンゴを見て口の片端を上げた。
いつも通りの彼女が戻ってきた。
今日はファミリーたちと、食事をしよう。〇〇と会いたいと、うるさいのだ。
あまりにもドフラミンゴが溺愛しているので珍しく遠慮というか接し方が分からずに、しばらく遠目に見ていた彼らも、最近は興味が湧いて仕方ないらしい。
今日は旨い飯が食えそうだ、とまた口元が緩んだ。
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