認める桃鳥



初めての島に浮かれてか、いつもより酒が進んでいた〇〇が潰れたのを丁寧にベッドへ運んだ夜、取引に不備があるやら何やらで急に呼び出された。仕方なくそこへ向かえば面倒事がごろごろ転がっているような有様。

口角が1ミリも上がらなかった。

気づけばもう昼に近い。もう〇〇は目覚めているだろうか。

〇〇はふと物思いにふけることがある。バシバシと自分を拒否する手は容赦ないのにピタリと止まることもある。まるで葛藤を抱えているようだった。

〇〇がふと気づかぬ間に消えてしまいそうな気がして、少しも目を離したくない。朝から晩まで嫌そうな顔をする〇〇を隣に置いておきたい。

自分が今までにない執着心を抱くようになったことを、ようやっと認めることができた。


できる限りの速さで自身の船に戻り、慣れた扉に手をかけた時、中から話し声が聞こえてきた。






「…本当に甘えていいの?」

いつもより少し低い〇〇の声だ。

「甘えればいい」



頭に血が上っていた。低いその声を聞いた瞬間、無意識のうちに扉を開け放った手が、行き場をなくした。



甘える?
誰が、誰にだ。

唯一残った思考機能がそう叫んでいる。






ローは〇〇の顔を覗き込んだ。

「熱がある。昨日のアルコールも…」

真剣な医者の顔で何やら話し終わった後、にやりと笑みをこちらへ向けて言った。



「側に置いて置いときたくなる気持ちが分かった」


ふわりと赤い〇〇の頬を撫でるローに、黒い汚れた気持ちが湧き上がる。


「ひとつ言っておく…」







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