―――――後日
「それにしても、あの時の二人はすごかったわよー!!」
「…あは…ははは…」
千里は恥ずかしそうにしているけれど、今思い出してもあの日の二人はいろんな意味で完璧だった。
おかげで、あの日を境に千里への嫌がらせは無くなったようだしね。
あの日、千里はとても目立っていた。
ただでさえキレイな容姿である。
君菊が見立てたドレスは化粧映えする整った顔立ちの千里にはとても似合っていた。
髪を1つに束ねているいつもの姿ではなく、下ろして緩く巻き、片方へ流した時の首筋なんて同性から見てもとんでもない色気だった。
「あれから彼はどうなの?」
「どうって…普通だよ」
「土方さんも大変だね〜」
「な、なんのことよ?!」
中庭から戻ってきたとき、みんなの視線は美男美女に注がれていた。
土方にエスコートされ、控えめに会場に戻る千里。
あまりにも似合いのカップルで。
あんなの見せられたら、さすがに完敗だと認めざるを得なくなるでしょう。
「しかし!やっとくっついたわね」
「やっと、って何よ」
「こっちの話よ…あ、」
千姫の視線の先には、愛しの彼女を迎えに来たのであろう、今話題にしていた彼が立っていた。
項垂れている千里を突っつき、視線を入口に向けると、彼女も不思議そうな顔でそちらを見やる。
「ひ、土方さん…」
「迎えに来てくれるなんて、あの人随分と千里が好きなのねえ」
「さ、さぁ…?」
お迎えも来たことだし、そろそろ帰ろうかと喫茶店の席をたつと、店員が来た。
何を言うかと思えば、"こちらのテーブル分に関してはあちらの方がすでに支払い済です。"と言う。
千姫は驚いて土方を見るが、当の本人は知らないフリを決め込んでいるのか、そっぽを向いたままだ。
…千姫は思った。
あれだけ鬼だなんだと言われている土方さんも、結局好きな女の前では究極に優しい紳士なのだなぁ。
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blue moon