ツイッターお題診断より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの温もりを知ってる。
誰かは知らないけど、その温もりを知っている。私は誰かに手をひかれている。優しい笑顔で、時々私の方を見ながら前を歩いたり、走ったりしている。
笑顔と言っても夕日を浴びたように逆光で顔は見えない。でも、笑っているのがわかる。
その温もりはどこか懐かしくて、地に足がついていないようなフンワリととした感覚があった。
私はこの人のことが、好きなんだなと思った。
彼とは何か他愛のない話をよくしていた気がした。しかし、何の話をしていたかは覚えていない。話をしたことでさえ覚えていないのだ。それに私は彼のことを知らない。彼の声も顔も、髪だって。シルエットでしかない。
なんだか、私は影に恋をしたような気がした。
それでも、私は怖いとか気味が悪くなることもなかった。本当に私はこの人に恋をしているんだなと思った。
そう思ってしまえば、私は軽くなった。あれこれと考えずにただただ、恋をすることができるから。
好き。その気持ちだけで私は世界が優しく思えた。
その人の顔も声も知らない。それでも、その手の温もりは私の手に伝わってきてそれだけでなんだか涙が出そうになった。
幸せを感じるたび、何かを恐れている気がした。その度に心にポッカリと穴が空いた気がした。穴を感じるたびに彼はこちらの方を向き、首を傾げた。私は、なんでもないよ。と笑うと彼は微笑んで前を向いた。
なんだかその穴を覗いてしまえば、解決するのにこの幸せが離れてしまう気がした。今、この幸せを手離してしまうと考えた時、私は泣きそうになった。彼は泣きそうになったのに気付くと優しく温もりの手先で涙をぬぐった。
彼は後ろにも目があるんじゃないかと思うほど、いつも私の気分を見抜いていた。
泣き止むとその手で私の頭を撫でてくれた。そして笑うと前を向いて歩きだした。
その繋いである手はとても温かく優しい気持ちになれた。
何かを忘れている気がするけど、別によかった。ただ、これが夢なんじゃないかと思える時がある。でも夢にしてはこの感触や温もりはリアルすぎた。それにこれが夢だとしても、私は彼が好きだ。だから、どうか覚めないで。と願った。
ピーと音がする。
ピーと鳴り続ける機械の隣りに男の人が寝ている人の手を握っている。男の人は怒っているのか、震えながら「くそ、、帰ってこい、、。帰ってきてくれ、、、」と嘆いている。
ピーと醒めない音が鳴り響いた。
前 list 次