愛に近い執着

ツイッターお題診断より


お前は毒だ。そして、俺はおまえが嫌いだ。

ボコッというよりもガッという方が正しいかもしれない。細い体の女が頬を殴られて真紅の血を口端から流す。全てを諦めた瞳。ムカつく。あの日と同じ瞳。俺の家族を殺した日の瞳。こいつが、人殺しだとかどうでもいい。飼い主の命令でもなんでもいい。俺はお前が嫌いだ。赦せない。

こいつは何も話さない。帰りたい場所がないのか、帰る場所がないのか。「やめて」とも言わない。痛みで泣く時か殴られた時か犯されている時しか声を発さない。喋れないわけではない。食事を渡すときに、食べ物を見て「ありがとうございます」とおどろきながら言った。ろくな食い物を渡されなかったのだろう。やけに細い体だった。肌の色も悪い。
おれはこいつを殺さない。生きて苦痛を知ればいい。俺はわざと人間の生活を送らせた。奴隷のように扱うのに、風呂やトイレ。食事をきちんととらせた。自分の仕事てイラつくことがあるとボウっとこちらを見ているこいつを殴り飛ばしたりした。
きっと、こいつは殺してほしいのだと思う。死にたいのだと思う。しかし、自分はそれだけはさせるつもりはなかった。
長い髪をベットに広げ、俺に馬乗りされて首を絞められているのに、瞳には光がない。絞めている俺の手に自分の手を重ねてどかそうとする行為はあるものの、身体も表情も変わらない。その行為も生理的な行動なのだと思う。
人とは何かを忘れてしまう者だ。
あいつとの生活も慣れた。その時、仕事仲間に彼女の話をした。逃げないようにあいつの淫らな写真を見せれば、興奮したように「貸してくれ」と言った。その時、彼女が男どもに強姦されれば苦しむのではと思った。が、他のものに抱かれているのを想像して、怒りを覚えた。胸のあたりがムカムカする。あいつがいなくなることに恐怖を抱いた。仲間に「貸せない」と言って、家に帰った。靴を脱ぎ適当に脱ぎ捨てて、あいつの元へ急いだ。
いつもいるのが当たり前だった。それはイレギュラーがないと思い込んでいるからだ。
走ってきたから息がきれる。恐怖に包まれながら、勢いよくドアを開けた。いない。あの女がいない。どこへ行った。くそ。なんで。あの光がない瞳が嫌いだった。希望も生きる気もないくせに、人の大切なモノを殺したことにムカついた。だから、苦しめばいいと思った。絶対に殺させないと思った。
人の気配に気づき、ハッと後ろを向いた。彼女がいた。こんな昼間に帰ってくることはなかったから、驚いた顔をしていた。
「どこへ行っていた」
低い声が出た。気づけば細い肩を思いっきり掴んでいた。苦痛の顔をした彼女は
「お手洗いに・・」
と言った。
「本当だな」
と低く重い声を出せば
「本当です」
と言った。それを聞き、出て行こうとした訳ではなかったことに安心し、気づけば彼女を抱きしめていた。彼女は驚いていた。
何故かは知らない。「消えるな」と小さく声を出していた。何故かは知らない。そばに居て欲しいと思った。
体をドクドクと毒が混ざるように、自分は彼女に暴力を振るえなくなった。しかし、その光がない瞳も、何を考えているのかわからない表情も、全部嫌いだ。そう思うと顔を殴り、犯していた。その時の赤黒い血がどうにも美しく見えてどうしようもなかった。
死に損ないめ。そう思うのに、彼女をどこにもやりたくない。そのことにイラついた。
俺はお前が、


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