水深200mの香水

ガチャリと音がした。
鍵をかけた音に消えかけていた意識を起こす。
ベットサイドに置いたサングラスを手探りで見つけてかける
「起こしましたか」
申し訳なさそうに小さな声で話す。覚醒してしまったから、気にすることはない。
「フフフ、気にするな。お前の部屋だ」
ほっと胸を下ろして部屋の明かりをつける。サングラスをかけたから眩しさにやられることはない。部屋の主はオレの存在に驚きもせず、自分の寝る支度をする。
窓を開けて換気。ドレスローザには相変わらず心地の良い風が吹く。白い月が青い光を運んできた。支度を終えて、部屋の明かりを消す。ベットランプはそのまま。淡い黄色と薄青の光だけでこの世界を照らす。今から寝るベットにオレが寝転がってても文句言わずサイドに腰掛け、オレの横に寝転がった。枕に頭を数回つけて、ベストポジションをみつける。ベットランプを瞬きで消す。
青い光だけで今度は構成される。眠たそうな動きでオレのサングラスに触れる。枕に押し付けていた組んだ腕を解く。イタズラする指を掴む。掴まれたまま自分の頬にオレの手を誘って頬擦りする。今日は特に眠いのか
目を閉じてオレの手の感触を楽しんでいるから、サングラスを片方の手で取って、オレも寝る支度をする。自分の部屋に飼い主がいるのは当たり前なのか。部屋の持ち主を待つのがダルくて勝手に入るようになった。最初こそ驚いてたが、嫌な顔は一切ない。むしろ、喜んで笑う。
頬擦りしていた手を解いて、人差し指で頬を撫でてやる。その指にも頬擦りして気持ちよさそうにするから食べたくなる。風が心地いい。
頬を撫でる腕に自分の手を絡ませる。正面だけ向いてた身体を横にする。枕の位置で同じ目線になる。目を閉じてる彼女の瞳は見えない。間近だからしっかり見える。口が小鳥のように少し開く。腕に絡まる手が緩くなる。愛おしくてその唇に親指を沿わせる。軽く擦ると気になるのか少し閉じてまた開く。眠気には勝てないか
朝に弱いこいつのことだ。こんなにも寝付きがいいのに二度寝をするんだろう
唇を親指で堪能して、頬に手のひらを沿わせる。何をしても起きないから、そのまま少し手のひらで頬を添えてキスをする。流石に起きるか
消えゆく意識の中だからか、小さい鳴き声を出すが、諦めて寝てしまう。調子に乗ってもいいかもしれない
「若様」
ふんわりと声がする。目は開きそうで開かない。
「起こしたか」
「起きて欲しかったですか」
ゆったりと話す。頬を優しく撫でる。眠る前の子どもみたいだ
「フフフ。いや、寝てろ」
「ん。若様も」
もう一度オレの腕にしがみつく。
腕に触れる彼女の寝息と吐息で、身体が疼く。
「おやすみ、するか」
意地悪く言えば、薄く目を開いて薄く笑う
眠そうだ
「おやすみ、したら。夢で会える?」
可愛い寝言だ。つい舌先で唇を舐めちまう。くすぐったいのか、唇を噛み締める。ちょっと、目を開ける。暗闇でもわかる神秘的なブードゥーブルーの瞳
「会いにきて。待ってます」
オレの返事を待たずに深海は消え、呼吸音が響く
心地良さそうな顔に意地悪く重く唇を当てた。離してみれば幸せそうな顔。食べたくなったら食べるまでだ。ちょうどいい深さの睡眠を刺激する。これから食べられることもわかってない。
夢で会えるのは、もう少し先だ