何だか外が明るくなって来た気がして、瞼をゆっくりと開いた。
何も無い白い世界に大きな樹木から葉がひらり、ひらり、とゆっくり地面へ落ちてゆく。
───どうして、俺はベンチに、
驚いたことに知らぬ世界でベンチに座って眠っていたらしい。自分では有り得ぬことなのにどうしてだろう、考えてみても何も思い当たらない。ここはどこだろう、と考えていると 「いらっしゃい」 と聞こえ慌てて振り返ると見知らぬ女性が居た。気配を何も感じさせず後ろに立つ、それは普通の人間には中々出来ないことだ。驚きを隠しつつ、 「どうも、」 とだけ返すと女性はふんわりと笑った。
「あなたのお名前は?」
「…先にそちらから名乗るのが筋では?」
「確かにそうでしたね、失礼しました…今名乗る必要は無いのでお名前を伺うのはまたの機会にしますね」
また同じ笑みに自分と同じ匂いがする。俺だって今まで散々作った性格作った話し方作った笑みをしていたから、分かる。彼女は自分のことなんて話す気もないんだろう。それはこちらも同じだ。
しかし、そんなことはどうでもいい……
「此処は何処ですか?僕はここに来たことはないはずですが」
「心当たりないんですか?てっきり貴方が好んで来たのかと思いましたよ」
「は?」
何を言っているか分からない、そのことを分かっているらしい彼女は笑ったまま口を開いた。
「私が作った世界ですよ」
「全くもって意味がわかりませんが」
「もうひとつの方はどうも鬱陶しい奴が居るのでね、此処に貴方の意識を持ってきたんですよ。分かります?貴方の今」
「つまり意識だけここにあるという事は夢に近い所なのですね」
「正解です、流石ですね。ちなみに現実の貴方は今可哀想なくらい怪我を負っていますね」
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