「よろしく、アムロトオルさん」
「……よろしく」
出された手に自分の手を重ねた。
何故、俺が、女に付かれなきゃならないんだ。
そう問いたい所だが、管理官が決めたことに俺は何も口出しはできない。
事の発端は30分前に管理官から呼び出されたところから始まる。
呼び出しから指定の時間に管理官の元へと行けば隣には女性が立っていて、管理官から一言、「彼女は君の素晴らしい駒になってくれる」。
優雅にソファーでお茶を啜っていた女はちらりとこちらを見てから管理官に、「この人何しても死ななさそうじゃないですか」なんて吐かした。初対面にして随分な口聞きをする女を管理官は「人間だから」と普通に返していたが、なんだか癪に触る。
イライラしたまま彼女から伸ばされた手を握り握手を交わしてそのまま、管理官の執務室から出ると、改めて彼女は握手を求めてきたのが今。
「……名前を教えた記憶はないが」
「外ではアムロトオルさんが良いと思ったんですけど」
「何処でその情報手に入れた?」
「それは秘密ですよ…あ、名乗り忘れましたね、私名字名前です」
失礼しました、と話す女、名字に少し苛立ちを覚える。
この見るからに華奢な体で一体どうやって俺の駒になるんだ?背だって格別高くもなければ、低すぎもしないしガタイがいいとも言えない。正直榎本梓と何ら変わらない人間をなぜ管理官が俺に着けたのか、謎である。少し注意した方がいいかもしれない、と自分の中で決めた。
(P)