公園で同級生と遊んでる蘭(8)と竜胆(6)を迎えに行く話
いつものごとく小学生の兄弟の世話を押し付けられた私は、近所の公園で遊んでいるらしい2人を迎えに公園に来た。
天気も良いが暑すぎず、学校が夏休みという事もあって、子供達で賑わう中に蘭ちゃんと竜ちゃんを探す。
すると、女子達が吹いたシャボン玉をめがけて水鉄砲を打つ男子達、それからその子供達に水風船を当てる男子達の集団の中に2人を見つけた。シャボン玉vs水鉄砲vs水風船の三つ巴である。
男子の水鉄砲軍団は蘭ちゃんが引き連れて、水風船軍団は竜ちゃんが引き連れている模様。
水風船の竜ちゃん達は他の子達より少し体が小さいから竜ちゃんと同じ一年生で、蘭ちゃん率いる水鉄砲男子とシャボン玉女子は二年生だろうか。
そんな彼らの近くまで寄ろうにも、あの悪ガキの事だから水鉄砲や水風船が私にまで飛んでくる事は軽く予想ができたので、少し遠くから2人に声をかけた。
竜ちゃんは私を見つけてひらひらと手を振り、お兄ちゃん達に水風船を投げつける。
蘭ちゃんも私に気づいたようで水鉄砲をこちらに向けて発射してきた。
でも、私のところまで蘭ちゃんの水鉄砲が届く事はなく私の頭脳の勝利。
「この戦いが終わったら行くから。ナマエ、はそこで待ってろ〜!」
大きな声で言う蘭ちゃんに、わかったよ! という気持ちを込めて手をふる。
すでに水浸しのびしょびしょの子供達を遠巻きに見ている大人は私だけではなくて、きっとこの子供達の親なんだろーなとぼんやり考えながら蘭ちゃんと竜ちゃんを見ていた。
水風船を当てられる水鉄砲男子はもう全員ずぶ濡れだが、学年が下の子で形成されているっぽい水風船男子に水鉄砲男子は手加減しているようで、顔面めがけては発射しないところがさすが二年生! なんて誇らしく思って眺めていた。
すると、蘭ちゃんか執拗に狙うシャボン玉軍団の女子がいる事に気づく。
ふわふわポニーテールの子が吹くシャボン玉ばっかり、蘭ちゃんの水鉄砲が撃ち抜くのだ。
それでもめげずにシャボン玉を吹く女の子。
わぁ。私なら蘭ちゃんにめっちゃキレて窘めそうなのに、あの女の子は怒る事もせず泣き出すような素振りもなく、蘭ちゃんに撃たれるシャボン玉を吹いている。
もし彼女の親がここでずっと見てたら、蘭ちゃんの保護者である私が苦言を言われるような案件じゃない?
蘭ちゃんの親ではないが彼を迎えに来た大人である私は立派に保護者である。
うわー。そんなのやだよ。勘弁してよ。まったくあの糞ガキ! なんて青ざめてオロオロしていると、蘭ちゃんの言う「この戦い」が終わったらしい。
「竜胆。ナマエが来たから帰るぞー!」
蘭ちゃんが、弟を連れてこっちへ来る途中に、さっきのふわふわポニーテールの女の子も連れてくる。
え。うそ。マジやめて。その子連れてきたら問題大きくなるかもじゃん。
ひとり焦っている私に、苦言を申しに来るような大人はここには居ないらしい。
兄弟と女の子の3人だけが私の所まで来た。
「ら、蘭ちゃん。この子、おともだち?」
この子。と、ふわふわポニーテールの女の子を目で示すと蘭ちゃんは頷く。
「一緒のクラス。こいつん家、帰る途中にあるから送ってく」
「オレもおくってく! ね。一緒いこー?」
蘭ちゃんと同じクラスらしいその女の子は、竜ちゃんとも仲良しなのか、竜ちゃんは彼女に纏わりついて竜ちゃんが女の子と手を繋いだ。
「え。灰谷くん?」
女の子は助けを求めるような目で蘭ちゃんを見て、灰谷くんと蘭ちゃんを呼んだ。
あらやだ。クラスメイトの男子だから、名字にくん付けじゃん! かわいー! 懐かしいー!
聞きなれない呼ばれ方をしている蘭ちゃんが面白くて、きゃっきゃしてしまう私。
「今日来てた女子みんな、家あっちだろ。オマエの母ちゃん来てねーし。オマエみたいなぼけっとしたガキが一人で歩いてたら危ねえだろうが」
「うん。あの、灰谷くんの…お姉さん?」
「あー。これ、俺の女」
ぽかんとした顔で見慣れない大人であるだろう私を見ている女の子に、変なことを言う蘭ちゃんを捕まえる。
「ちょっと、蘭ちゃん! 変なこと言わないの」
そんな事にはおかまいなしなふわふわポニーテールの女の子は、私の前を竜ちゃんと手を繋いで仲良く歩いてゆく。
そんな2人を可愛いなぁ。とほくほくしながら見てから、私の隣を歩く生意気な悪ガキを見た。
前を歩く2人を眺めて不貞腐れる横顔に問いかける。
「蘭ちゃんも手を繋いで一緒に行けばー?」
「誰があんな不細工と手ぇ繋ぐかよ!」
わかりやすく不貞腐れてる蘭ちゃんは、手を繋ぐなら可愛い弟ではなくあの女の子が前提なんだ。
「じゃあいつもみたいに竜ちゃんと繋げば?」
「うるせー。クソババア」
「自分の女に対してクソババアとかひどくなーい?」
不貞腐れる生意気な悪ガキに戯けてそう言ってみると、心底めんどくさそうな顔した蘭ちゃんがこちらを見上げる。
「ったく仕方ねー女だな、ナマエは。愛してるよ」
サラリと言ってのける蘭ちゃんの言葉は、きっとテレビの受け売り。そういや蘭ちゃんが最近ハマってるドラマなんだったけかな? と考えた。