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「夢花ー。できそう?」
「少し不安だけどやってみるよ…。」
三人―と言うか夢花だが―は何をしようとしているかと言うと…
「犯人のチカラでも分かれば一気に進みますもんね。」
そう。夢花の力を使って犯人が使っているチカラを炙り出そうとしているところだ。
「じゃあいくよ?」
そう夢花が言った後周りには光が溢れ出てきた。その光が落ち着いた時には夢花が持っていた紙には二つの文が書かれていた。
「夢花さんが持っている紙見せてもらってもいいですか?」
「いいですよー!はい、ちょっと夢花離してねー。」
「なんでお姉ちゃんが返事するの…。まあいいけど。」
そんな会話をしつつ実花がその紙を見て読み始めた。
「えっと…一つ目の文は―チカラを持つのは犯行グループに二人いて、一人は印をつけたものを爆発させることができるチカラ。しかし、一度に大きいものなら三個、小さいものでも十個までと制限が付く。
そして二人目はある呪文を唱えると相手を支配することのできるチカラ。しかし、支配するためには相手の目を見て触れながら唱えなくてはいけない。―これは相手のチカラに関することですね。二つ目の文は…」
と実花が読もうとした瞬間
『話の途中にごめんっ!ちょっと緊急事態!』
カミサマが何やら焦ったような声で三人へ話かけてきたのだ。
「なんすか?カミサマ。なんか焦っているみたいっすけど。」
「カミサマ。なんで焦っているかわからないですけど、少し落ち着いてください。」
夢花と花楓にそう言われたがカミサマはよほど時間がないのか二人をスルーして話し始めた。
『犯人たちが目的としていることが分かったんだよ!』
「スルーするんかい!」
「ちょ、ちょっと夢花静かにしといて。カミサマ、それだけですか?それだけならもう少し後でも…。」
そう花楓が話していた瞬間遠くの方から爆発音が聞こえた。
「えっ!今聞こえたの爆発音ですよね!?」
「どういうこと?カミサマ?」
『目的は後で話すけど、相手側はこの世界のカミサマを捕まえていることが分かったんだ。しかもそれだけじゃない。犯人たちは君たちを敵としてこれ以上何かしようとするなら殺しにかかってくるよ!』
そう。彼女たちは実花の世界のカミサマを探す。そしてこの世界の破壊を止めるために動いているため相手にとっては邪魔をしているということになるのだ。
「そ、それってまさかとは思うけど直接戦わなきゃいけないのか…?」
『そういうことになるね。しかも人数的にはあっちの方が多い。そんな中で戦わなきゃいけないんだ。
僕もできるだけ君たちの相手する人数を減らせるように動くつもりではいるけど、どうしてもできないこともあるからそこだけは知っといて。』
そう言った後、回線を切られ三人はカミサマが言っていたことについて話し始めようとした瞬間誰かに話しかけられた。
「よう。そこのお嬢さん方。」
三人が振り向いたところには普通の男…とは少し言いにくい男が三人を見ながら立っていた。
何故普通と言いにくいかは、頬から血が出ており、服は赤黒い血が付いていて少しボロボロになっているからだ。
そんな中実花が男に話しかけた。
「…何ですか。そしてあなたは誰なんですか。」
「俺か?俺はな…」
そう言った瞬間彼の手の中にあった石が音を立てて破裂した。
「まさか!」
「こういうものだよ。お嬢さん方?」
「あんたらがこの世界を破壊しているんだな?何のためにやっている!?」
犯人の中の一人が目の前にいる状況。そして睨み合いながら夢花がそう投げかけた。
「まあ、俺らがこの世界破壊していることは確かだな。けどな、何のためにかは言えないな。まあ、一つ言えることとすれば、俺らはある方のためにやっているってことだな。」
男はそう答え、夢花の方を向きながらこう続けた。
「お嬢さん方、俺らのやっていること邪魔しているそうじゃねーか。」
「当たり前でしょ!世界を破壊しようとしているんだから!」
「そう。でもな、これ以上何か俺らの邪魔しようものなら…お前らのこと殺してやるからな。」
そう言いながら男は持っていた石を三人と男の間に投げ爆発させた。
「うわっ!おいっ!待て!」
男は三人に背を向け歩き出していたが、夢花の声を聞きこう答えた。
「今回はそれだけで済ませたが今度会った時は覚悟しとけ。」
そう言い消えた。