ダンブルドアとのお茶会の後、アズミは一直線に図書室へ向かった。入って最初に向かうのは魔法具の本があるところだ。
(やっぱりダンブルドアはこのネックレスを知ってたんだ。…このネックレスは何なの?)
本棚の前に仁王立ちして、魔法具の棚から読む本を探す。
(おそらくだけどあの力の原因はこの真ん中の石。不思議な力がある石全集とかないかな?)
本の背を指で追いながら、ゆっくりと横移動していく。その時、とん、と何かにぶつかった。
「あっすみません」
「いや、気にしな…ああ、なんだ、アズミじゃないか」
「え?リドル?」
横に立っていたのは、数冊の本を小脇に抱えたリドルだった。
「どうしたんだい?何か探していたようだけど」
「昨日読んだ本にあった魔法具の詳しい説明が読みたくて。タイムターナーについて書いてある本って知ってる?」
「ああ、それなら2つ向こうの列にあるよ。取ってこようか?」
「いいの?ありがとう」
どういたしまして、といって違う本棚の列へ歩いていった。それを見届けてからアズミは、ほっと息をつく。自分の口からすらすら出てくる嘘が恐ろしいばかりである。
(絶対リドルにはこのネックレスのこと知られないようにしないと)
アズミはその形と存在を確かめるかのように、シャツの上からそっとネックレスを撫でた。
「はいこれ。確か3章の真ん中ぐらいにあったはずだよ」
「ありがとう。よくそこまで覚えられるね」
渡してきた広辞苑並の本を両手で受け取り、胸の前で抱える。とりあえず早く立ち去ろう、とアズミは踵を返した。だが後ろから、唐突に呼び止められる。
「そのピアス」
リドルが指を指した先にあるのは、金色の蛇だ。
「着けてくれたんだ」
目を細めるリドルに、背筋が凍る。これは絶対に何か仕込まれている気がする。
「せっかく貰ったんだから着けるよ」
アズミは、今後できる限りはこれを外して過ごすことを決めて、今度こそ出口へ向かう。けれど、数歩歩いてからふと思いついて振り返った。
「リドル、メリークリスマス」
「メリークリスマス、アズミ」
『メリークリスマス』なんて言葉が、リドルに対して良い印象を与えるはずがない。ピアスのお返しに、そんなとびっきりの嫌味をぶつけてから寮へと戻った。
ちなみにアズミがクリスマスプレゼントとしてリドルに送ったのは、赤色の石がついた金のネクタイピンである。その配色を選んだ理由は、勿論嫌がらせだった。