口から出るのは、全て嘘。
私、苗字名前の言葉には針の重さ程も感情が篭っていない。
誰彼構わず愛想笑いで相手をしては、常にひとりにならないように取り繕って、さながらサーカスの道化だ。
でも、そんな事をしてでも私はひとりになりたくない。
「寂しいもんね。」
「…は?何言ってんだ、名前。」
「当真は彼女も居なくて、私なんかの相手して寂しい奴だな〜って思って!」
笑いながらそう言う私を心底呆れた顔で見下ろしてくるこの男、当真勇。
三門市を守るボーダーに所属しているクラスメイト。
私の悪友。
「寂しい奴って言ったら俺より名前の方だろーが!」
「うわっ、やめろ!私の超うる艶キューティクルヘアをそんな無造作にわしゃわしゃすんなー!」
いたずらっ子がするような笑みを浮かべながら、私の髪の毛を乱暴に掻き混ぜた。
でも、全然痛くない。
当真の癖に私に一応手加減してくれている。
くそ、なんかムカつく。
「そいや、こないだ言ってた歳上彼氏とどーなったんだよ。」
またもガキ大将がするような笑みを浮かべながら、あまり触れてほしくない話題に触れてくる。
嫌な奴。
「…別れた。」
「っは!?お前、早すぎだろ。」
「うるさっ!てか、彼氏じゃないし!」
「はあ!?じゃあ何だよ、」
「何って、そりゃあ、、セフレ?」
「俺が聞いてんのに何で疑問形なんだよ。」
あーあ、ヤダヤダ!なんて言って大袈裟にえんがちょをしてくる当真にさっきまでと比べ物にならないようなイラつきがあったが、今度は優しく髪を混ぜてくれたからまあ、許してやることにする。
私と当真は何でも言い合える仲だが、それはお互いが必要以上に踏み込まないのを理解しているからだ。
お互いそこそこ察しがいいので、ちょっとつついて言わなければ二度目は聞かない。
こんな関係が私には心地よくて、あまり好きじゃない言葉だけど、当真の事は親友だと思っている。
「説教するつもりはねえけど、あんま無茶すんなよ。」
「…当真が優男で怖いな。」
慈しむように私の髪を撫でながら言うもんだから、つい悪態をとる。
そんな私にすかさずチョップをしてくるから、さっきのトキメキも一瞬で覚める。
この男はいつもそうだ。
優しく髪を触って、私の欲しい言葉をくれる。
だからこそ知られたくない。
嘘で塗り固めた本当の私を。