小学校一年生の時に両親が離婚した。
母親は男遊びが激しい人で、毎晩家を空けていて、私の顔を見るとよくため息をついているような、そんな人だった。
そんな母親と比べて、父親は立派な人だったと思う。
母親の事を本当に愛していたのか、はたまた私の存在がそうさせたのか、今となってはその真意を確かめる術はないが、父親は私の面倒を見てくれた。
まだ幼かった私は、難しい事はよく分からず、母親が家にいないのは仕事だと思っていたし、父親が私の面倒を見るのは私を愛しているからだと思っていた。
だが、父親は疲れてしまったのだろう。
段々と私への当たりがきつくなり、私がお父さんと呼べば眉間に皺を寄せ、心底嫌そうな顔で私を睨んでいた。
そして、私が小学校に上がりたての頃。
両親の離婚が成立した。
その事実に泣きながら父親に縋りついた私の手を、父親は叩き落とした。
驚いている私に、父親は何も言わずに纏めた荷物を持って出ていった。
その離婚の真相を知ったのは、私が小学校四年生に上がった時。
酒に酔った母親が爆笑しながら私に言った。
「あんたの父親、誰なのかわかんないのよ。」
その言葉を聞いて全てに納得がいった。
父親だと思っていたあの人は、他人だった。
そしてこの人は、母親ではなくただのダメ女なのだと。
時は過ぎ、小学校最高学年に上がりもうほぼ一人暮らしのようになっていた。
あの女は相変わらずで、家には着替えをしに来るか、私の生活費を渡しに来るかでしか帰ってこなかった。
家に見知らぬ男を連れ込まれるよりはマシだと思う。
そんな風に親からの愛情を録に受けず、自分の事は自分で出来てしまっていた私は、なんの可愛げもなく若干人間不信になっていた。
「苗字さん」
「…染井さん?何か用?」
「ええ、先生が探していたわ。」
「…そう、そりゃ親切にどーも。」
同級生との会話もこんなもんである。
というか、あの返しは無いだろう。
わざわざ教えに来てくれたのに、あんなに無愛想な返ししか出来ない自分が憎い!次同じような場面に出会したらこう、なんというか、その、あれ。いい感じに!返してやる!もう小学生のうちは無理だ。きっと。なので、中学に上がったら!絶対友達百人作る!
そう決意して、早2日。
皆が大好き日曜日。
珍しく家に母親が帰ってきたかと思えば、あろう事か見知らぬ男を連れ込まれたのである。
居心地が悪かったので早々に家を出た。
特に行く当てもないので図書館に入る。こういう時に市立図書館は便利だ。
読みたかった本を見つけ館内で読み始める。
ゴゴゴゴゴゴッ
あと少しで読み終わる。そう思っていた矢先に、突然の地響きと建物が揺れ始めた。
異常事態だ。
普通ではない。
パニックになる人々に紛れて館内から出る。すると、そこには見たことの無い白い怪物がいた。
何体も何体も、まるで映画を見てるみたいだ。
怪物に踏み潰される建物を見て、ふと嫌な予感がした。
比較的多く怪物が闊歩しているのは私の家がある方だった。