「名前さん気持ち悪い嘘つくね。」
そう言った遊真の目は笑ってなくて、ちょっと迅の目に似てるなって思った。
「なっ、空閑!お前なんて事言うんだ!!」
静まり返った空間で最初に声をあげたのは三雲君だった。
「いや、嘘ついた私が悪いから、遊真を責めないであげて三雲君。」
「でも、」
「責めるも何も、目上の人に対しての言葉遣いを注意してるんですよ。苗字先輩はセンスある人に甘すぎます。」
木虎が三雲君を擁護した。やっぱりこの二人できてるのか?
と思ったけど、木虎は規律に厳しい子だから何となく納得した。
「気持ち悪いはただの悪口だぞ、遊真。」
「ふむ、そうか。ごめんね名前さん。」
「いいよ。遊真は感じた事を言っただけでしょ。私副作用には理解あるから。」
そういった所で私の携帯端末が鳴る。
着信元は本部長。調度良いと思った。
「変な空気にしちゃったのに悪いんだけど、本部長から呼び出されちゃった。またね三雲君、遊真。木虎、隊長に伝えといて〜!」
そう言い残してその場を去る。
正直、面食らった。
嘘を見抜く副作用、その精度を甘く見ていた。
嵐山隊を抜けて、太刀川さんとも別れたあの日から、嘘をつき続けている。
コンコン
「失礼します。急用ですか?」
ノックをして扉を開けた先にいるのは、私が大好きな人。忍田真史だ。
「わざわざすまないな。名前に伝えてなかった事があって、空閑遊真という隊員についてなんだが、」
「ああ、会いましたよ。嘘を見抜く副作用持ってる。」
「…会ったのか?」
本部長の眉間に皺が寄った。
「はい。嘘を見抜かれちゃいました。」
遊真が見抜いた私の嘘。
それは私がA級ソロ隊員では無いということ。
まあ、隊を抜けたのだからA級では無いだろう。というのは当然たどり着く思考だと思うが、そこではない。
じゃあ、ソロって所か?S級以外ソロは有り得ないと。それは少しだけ惜しい。
そもそも私はもう隊員ですらない。
え、なんでかって?
「…名前、一度リセットした方がいいのか。」
本部長が重苦しく口を開いた。
それを受け私は答える
『…そうですね、このままではボーダー機密事項が空閑遊真に露呈してしまいます。ならば一度トリガーを解除し、もう一度起動する事を推奨します。』
嵐山隊を抜けたのは、これまで過ごしてきた人間相手ではボロが出ると思ったから。
太刀川さんと別れたのも同じ理由。恋人ならばすぐにわかってしまうだろう。
一人暮らしを始めたのは、睡眠が不要になったから。食事すら不要。
『黒トリガー苗字名前を解除しますか?』
苗字名前という人間はもうこの世には居ない。