結局入隊式までに迅を探し出すことは出来ず、渋々嵐山隊に合流する。
そもそも、玉狛所属の迅がわざわざ本部にまで足を運んでいるのかも謎だが。
毎度の事ながら、本部長の重苦しい挨拶の後ポジション事に別れての戦闘訓練が始まる。
「ねえ、さっきから気になってるんだけど、あの眼鏡かけてる子B級隊員だよね?」
「ん、ああ。彼は三雲君だ。隊を組む予定の子達が今日正式入隊するから見に来てるみたいだな。」
嵐山隊長が簡潔に答えてくれた。
なるほど、もう隊を組む予定を立ててるなんてとてもしっかりしてる子だ。
眼鏡仲間だし、顔立ちも凛々しい。
少しだけ興味が出てきたので、後ろからついて行きながら話しかけるタイミングを見計らっていたら、驚いた。
「三雲君、なんで居るのよ。」
高飛車な木虎が話しかけた。
と言うか知り合いっぽい、どうゆう関係だ?
聞き耳をたてていると何となく関係性が分かった。木虎相変わらずだな〜。
そんな事考えていたら戦闘訓練が始まる。
三雲君が一緒にいる白髪の子も気になるな。
なんて思ってたら物凄い逸材だった。
「…え、一秒切った!凄!!」
無駄の無い綺麗な動きで真っ二つにした。
「ね、木虎あの子…」
「マグレだ!」
木虎に白髪ボーイを紹介してもらおうと思ったら、難癖を付け出した子がでてきた。
確かに目が慣れないとちゃんと見えないよな。あの綺麗な太刀筋は。
どうなるか傍観していたら、リクエストに応えて記録を縮めていた。本当に凄いな。
「話途中でしたね、なんですか?苗字先輩、」
「修、」
「か、かか、烏丸先輩!」
「おお、木虎、それに名前も。久しぶりだな。」
木虎、私の話よりも烏丸先輩の登場を優先させやがった。
「お久〜、遅かったけどまたバイトですか?京介は」
「ああ、長引いてな。で、どうな感じだ?」
「問題無いです…空閑が目立ってますけど」
「まあ、目立つだろうな。今回も嵐山隊が入隊指導の担当か。」
「そうなの!私もう嵐山隊じゃないのに、駆り出されて、」
「大変だな。」
「いえ!このくらい全然です!」
ああ、ダメだ。京介が居ると木虎が使い物にならなくなる。
頑張ってアピールする木虎を生暖かい目で見ていたら視線を感じた。
三雲君が私を見ている。
「どうも、苗字名前です。三雲君でしょ?嵐山隊長からお話聞いてます。」
「っ!はじめまして、三雲修です。」
「三雲君何年生?」
「中学三年です。」
「あ、一個下だ。仲良くしようね。」
そう言って笑いかけた時木虎と話込んでいた京介が入ってきた。
「こいつ俺の弟子なんだ。木虎も名前も色々教えてやってくれ。」
「…弟子!?」
「そうなの、よろしくよろしく。狙撃手以外なら頼りにしてね。」
木虎は謎にダメージを受けていたが私は三雲君と仲良くなれそうだ。
と思っていたら、風間さんが三雲君に模擬戦をふっかけた。
何考えてんだ風間さん。
まあ面白そうなので見物していると時君が気を利かせて訓練生をラウンジに誘導してくれた。ちゃんと仕事してて罪悪感を感じる。
すると白髪ボーイは見学を許されている。
「はじめまして、君名前は?」
「…空閑遊真です。はじめまして、お姉さんは?」
「苗字名前です。君は三雲君関係者?」
「そう。一緒に隊を組む予定なんだ。」
という事は三雲君と同い年かな?タメ口でいいか。
「へえ、じゃあB級に上がったら模擬戦しよう。私そこそこ強いし。」
小柄故の身のこなしとあの綺麗な太刀筋、ぜひ近くでみたい。
「いいけど、お姉さんつまんない嘘つくね。」
「え、なんで分かるの?」
「俺嘘を見抜く副作用があるから。名前さんそこそこじゃなくて超強いでしょ。」
「…まあ、君には負けないと思うよ。」
「…へえ、」
「名前はボーダー内でトップだぞ。」
京介が私の変わりに話してくれるので任せることにした。いくら事実とはいえ自分の実力を自分で伝えるのは羞恥プレイだ。
そんなこんなで三雲君と風間さんの模擬戦が始まった。
見る感じ何故風間さんが模擬戦をふっかけたのか疑問だった。
失礼だが三雲君は弱い。よくB級に上がれたな〜って言う感じだ。三雲君レベルならゴロゴロいるのに、わざわざこの場で模擬戦をやる程の何かがあるのだろうか。
いくら考えてもその答えが分かるような闘いではなくて、あっさり終了、かと思ったら風間さんと何かを話して三雲君の目の色が変わった。
纏っていたオーラも変わった。
何か決意のようなあつい何かを纏った三雲君がもう一試合風間さんと闘う様だった。
「…三雲君ってトリオン量並より少なめだよね、身のこなしもあまり良くないし。」
三雲君がスラスターをonにして風間さんに突っ込んだ。
「決まった。」
「一生懸命考えるタイプは手強いよね〜。」
結果は風間さんの24勝1引き分け。
「三雲君ナイスガッツ。かっこ良かったよ。」
「あ、ありがとうございます!」
「なんだ名前も来てたのか。」
「一応広報担当なんで、ちゃんと風間さんが引き分けるの見てましたよ。」
「お前はいつから見る専になったんだ。たまには俺と手合わせしろ。」
「あらら、言いたいことだけ言って行っちゃった。私も久々に模擬戦やろうかな〜。」
三雲君の模擬戦を見てたらなんだか懐かしくなってしまった。
太刀川さんや出水先輩、二宮さん達とワイワイ模擬戦をしていたあの日々が。
「名前さんは嵐山隊でしょ?模擬戦できるんじゃないの?」
「いや、私はもう嵐山隊じゃないよ。今はただの広報担当のA級ソロ隊員だよ。」
「…名前さん、気持ち悪い嘘つくね?」
「あらら、本当に副作用って厄介だなあ。」
遊真の発言にその場が静まり返った。
無理もない。今の発言は表向き事実なのだから。