ーー風紀指導室


「今日はどうして呼ばれたか分かる、卯崎」
「…うさきって、や、です。いつもみたいに呼んでくれないと、返事しません」
「…うさき」
「……」
「…はあ、うさ」
「はい、なんですか、いいんちょう」
「なんですかじゃなくてねうさ…。今日のあれはなに?」
「なにって、なんですか」
「今日一日、俺が見かけただけでもそこら中のアルファに色目を使ってたように見えたけど?」
「色目って…!今日はやけに珍しく話しかけられるから、少し相手しただけじゃないですか。なにがわるいんですか。それにどうしていいんちょうに責められなくちゃいけないんですか」
「へえ。明らかに獲物狙ってるアルファのボディタッチを、嬉しそうに受け入れて、ベタベタ触られるのを、うさは、少し、相手しただけ、って言うわけ?しかも、逆ギレまでするの?」
「うっ…。だって、その」
「俺が納得できる言い訳一つでも言えるなら許してあげるけど、言ってみな」
「…だって、俺、昨日も、いいんちょうと、その、えっち…、シました」
「シたね」
「ヒートでもないのに…。しかも、前のヒートが終わってから二週間経ってるけど、ずっと…その、シてます」
「うさは年がら年中ヒートみたいだものね」
「…そろそろ、いいんちょうに愛想尽かされるんじゃないかって、不安になって。…だから、その」
「…他の男に鞍替えしようって?ほんと、ビッチだねおまえは」
「…いいんちょうに、きらわれたくないんですもん」
「はあ…ばかなうさちゃん」



ばかにつける薬はない