泥沼家族
 

私は昔から望めば何でも手に入ったわ。

貧乏家庭で育てられたのはこの私の唯一のコンプレックスだったけれど私の美しさがあればお金も男も何でも手に入ったの。
だから周りの女たちから僻まれたりなんてしょっちゅうだった。

一人で外を歩けば数多の男に声をかけられる。スカウトはされる。
逆に私から声をかけて靡かない男なんていなかった。

のに。
二十代の終わりをそろそろ迎えようかという頃に私は一回り年下の男の子を好きになってしまった。

ある夜の繁華街でしつこく絡んで来た男がいたの。その時助けてくれたのがいかにもヤンチャしてますって感じの風貌のイマドキの男子高校生だったわ。ベタだけれど私はこの歳で初めて人を本気で好きになった。
モデルのようなスラリとした体型に肉食獣のように鋭い瞳、クールな姿にいい年した女がときめいたの。

三十路前ではあったけれど私はそこらの生臭い小娘には負ける気がしなかった。大人の女の色気ってモノを使って何度も彼を誘ったわ。
だけど意外と純情なのかその誘いに乗ってもらったことはないんだけれど。

数ヶ月かけて色んな方法で彼を口説いたけれど彼を手に入れることは結局出来なかった。

私も意地になったのね、彼が手に入らないならと当時の私は彼の父を手に入れることに決めたの。彼の父はとても推しに弱い優柔不断な性格の持ち主で一つ既成事実を作ってしまえばすんなり手に入れることが出来たわ。

彼の父、郁実さんは子持ちだと言うのに三十半ばとまだ若く、仕事も上場企業の会社にそらなりの役職に就いて勤めていたの。彼…帆波くんの父なだけあって容姿も申し分ない。

出会ってから私と郁実さんが結婚するまでさほどの時間はかからなかった。
これで私は帆波くんの義母になった。帆波くんを手に入れるチャンスはいくらでもある。

身内だけの結婚式を終えて三人の生活が始まった。
上辺だけ良き妻を演じて、義理の息子を求める私。
たった一晩の過ちのせいで私と結婚することになり死んだ奥さんと私両方に罪悪感を抱く郁実さん。
飲酒喫煙、深夜徘徊は当然。非行に走る帆波くん。

こんな三人だけど、平和に暮らしていたわ。
だけど私、ある日見てしまったの。

ある晩ふと目を覚ますと隣にあるはずの温もりがなかった。
それはよくある事でいつもなら構わずそのまま眠るんだけど、少し開いた寝室のドアから零れる廊下の照明に私はなんだか誘われている気がしたの。足音を立てないようにそっとベッドから降りて廊下へ出る。時計を確認すれば夜中の三時だった。

変な時間に起きてしまったわ、
郁実さんはこんな時間に一体どこへ、

夫婦の寝室を出て廊下を真っ直ぐ行けば左手に一階と三階へ繋がる階段、さらに真っ直ぐ奥へ行けば突き当たりに帆波くんの部屋がある。
その帆波君の部屋からもなんだか怪しい廊下の暖色の照明とは違った光が漏れていた。
部屋のドアにピッタリ張り付いて中の様子を覗くとそこにはありえない光景が広がっていたの。

モデルのような長い手足を持つ帆波くん一人余裕で収まるサイズのベッドの上に郁実さんが帆波くんに押し倒されていたの。
お互い産まれたままの姿で帆波くんのそれは激しく郁実さんのお尻を穿っていた。
ギシギシとベッドが軋む音と二人分の荒い息遣いが静かな深夜の部屋に響く。

「はっ、はぁっ、あんな女と結婚なんかしやがってクソ親父…ッ」
「あっ、あぁ、はぁっ、そ、んな呼び方ぁ、んっやめなさぁっんあぁっ」
「俺のをしっかり咥え込んで離さねえ淫乱な体してるくせに女なんか抱けるのかよ?!まじふざけんなっ」
「ふぁ、あぁ、ぁあんっ」
「結婚すれば俺がお前を諦めるとでも思ったか?!ぜってえ離さねえからな、死ぬまでお前は俺のモンだ!」

噛み付くような荒いキス、どちらからも漏れるくぐもった声、まるで肉食獣が獲物を捕食するかのような激しい行為だった。

私を抱いた時とは違う、まるで女のような郁実さんの淫靡な表情、甘い声。ずっと私が求めていた帆波くんの愛をあんなに激しく受けている。

「ぉ、おやこでっ、だめだ…ッん、こんなぁ…はぁ、ことぉっ」
「今更何言ってんだよっ!勝手に結婚までしやがって…っまじで許さねえからなッ」
「あっ、やぁっ、はぁっ、はげし…っん、あぁっ」

それから暫く、二人はずっとそんな調子だった。
どれだけの時間が経ったのかも分からないで私は夢中で二人の行為を見てた。

男同士でしかも親子。なんて罰当たりなの。
頭ではそう考えているのに私の手は無意識に下腹に集まる熱へと伸びていた。
郁実さんのいやらしい姿を脳内で私に変えて、私はその晩何度も何度も帆波くんに熱く抱かれたわ。





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